IDC Japanが7月11日に発表した2022年の国内ITサービス市場ベンダー売上ランキングによると、上位5社は前年から変動が無かったものの、売上額成長率が2021年と比べて20%超となったアクセンチュアが前年の8位から6位へ上昇した。
上位5社は、富士通、NTTデータ、日立製作所、NEC、IBMの順で、2021年と比べて変動は無かった。
前年の8位から6位に上昇したアクセンチュアは、2017年以降2桁成長を続けているといい、デリバリー体制の拡大と、ビジネス・コンサルティングを起点にシステム構築、運用、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)までエンド・トゥ・エンドの全社変革支援を展開し、売上額を伸長させた。
サービス分野別に見ると、プロジェクト・ベース市場は、上位10社のうちキンドリルの分社化による影響を受けたIBMを除く9社が全てプラス成長となり、国内ITサービス市場の拡大を牽引した。
いずれのベンダーも、既存システムのクラウド移行やモダナイゼーション、デジタル・ビジネス関連案件の需要増が主な成長要因だという。
マネージド・サービス市場では、従来型ITアウトソーシングのマイナス影響があった一方、マネージド・クラウド・サービスの増加などのプラス影響もあり、IBMを除く9社のうち8社がプラス成長となった。
半面、サポート・サービスは、半導体/部材供給の遅れ、および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大(コロナ禍)下におけるハードウェア製品の特需の反動により、上位10社中5社がマイナス成長だった。産業分野別に見たところ、金融では上位10社中9社が、製造、流通では上位10社中8社がプラス成長を示した。
いずれも、基幹システムのクラウド移行/モダナイゼーション、デジタル・ビジネス化案件、また、これらに伴うSAPやSalesforceなどの業務アプリケーションの導入支援が活況だったという。
通信/メディアおよび政府/公共では、一部事業者の投資抑制や大型案件の反動が、ベンダーの売上動向に影響を与えたとのこと。その他の産業分野では、運輸サービスなどコロナ禍の影響を大きく受けた業種においてもIT投資の回復が見られたという。
2022年は、コロナ禍が収束に向かったことや、下期以降、半導体/部材不足の影響緩和を受け、IT投資が抑制傾向にあった産業分野でもIT投資の回復が見られたとのこと。
同社Software & Servicesのマーケット・アナリストである村松大氏は、「これまで主に金融が先行していた既存システムのクラウド移行/モダナイゼーションおよびデジタル・ビジネス化イニシアティブが、相対的に遅行していた製造、流通など他の産業分野に拡大している。ベンダーはデジタル・ビジネスの拡大に対応した人材ポートフォリオを構築し、COVID-19からの回復が遅行している産業分野のデジタル・ビジネス化を支援すべきである。また、ビジネスの成長と拡大に当たってはAI(人工知能)を活用した生産性向上とオファリングの差別化が重要となるであろう」と述べている。