コーセーは7月10日、小児アレルギーの専門医療チーム(千葉愛友会記念病院)と共同で実施している「妊婦への教育介入による赤ちゃんのアレルギー発症予防に関する研究」において、同社が研究資材として提供した乳液型のスキンケア製剤が、生後3日以降から生後28日までの新生児にも安全に使用できることを確認したと発表した。
また、一般的に成人と比べて乾燥しがちな新生児の肌に対し、4か月間にわたって継続的に同スキンケア製剤を使用したところ、肌の水分量が増加することが確認できたことも併せて発表された。
詳細は、健康に関するランダム化比較試験の成績と所見に関する全般を扱う学術誌「Trials」に掲載された。
近年、子どもたちの成長過程において、適切なスキンケアを行うことの有用性が広く知られるようになっている。特に乳児期のスキンケア習慣は、肌を健康に保つだけでなく、アトピー性皮膚炎やほかのアレルギー予防にもつながる可能性があるという。また、新生児の肌は柔らかくて健康的なイメージだが、実は水分量が少なく乾燥しやすいこともわかっている。
そうした背景からコーセーでは、2019年から医療機関の小児アレルギー専門チームと共同し、妊婦へのスキンケア習慣・栄養・生活環境に関する教育の実施が、新生児のアレルギー予防につながる可能性があることを検証するという研究に取り組んできたとする。
今回の臨床研究では、参加した新生児のうち89名が、コーセーが提供するスキンケア製剤を用いて、生後3日目から家庭でのスキンケアを開始。89名中51名は全身に週5日以上、1か月間使用を継続し、そのうち30名は計4か月間使用を継続したとのことだ。なお、使用期間中に同スキンケア製剤が原因となった皮膚の赤みと湿疹の発生は1件にとどまり、医師の診断と指導により、スキンケア製剤の使用量を減らすことで肌トラブルは改善されたという。
また、スキンケア製剤の使用を継続しなかったいくつかの家庭に対し、理由の聞き取りを行ったところ、使い切った後に新しい製剤を受け取りに行く時間がないなど、肌トラブルによるものではないことが確認できたとする。以上の結果から、今回提供されたスキンケア製剤は、新生児が安全に使用できるという結果が得られたとしている。
新生児の肌は乾燥しやすいことが知られていたことから、コーセーは今回の研究において、生後3日目の新生児の肌の水分量を、同社が保有する成人のデータ(20代~60代の219名、平均年齢37.5才、男女比1:2)と比較したとのこと。すると、新生児の肌の水分量は成人のおよそ3分の1から4分の1程度しかないことがわかったという。
そしてこのように乾燥しやすい新生児の肌に対し、今回のスキンケア製剤を4か月間継続して使用した新生児は、身体の各部で水分量が増加していることが確認されたとしている。同社は今後、今回の研究成果を今後のスキンケア商品に応用していくとともに、申請時や子どもの皮膚に関する研究を継続し、スキンケア習慣と子どもの成長過程におけるQOLやアレルギー予防への影響を明らかにしていくとした。