ヤマハ発動機は、2022年8月に高知県四万十市「西土佐地域自動運転モビリティ実証実験企画会議」とともに実施した自動運転モビリティの実証実験について、その結果を発表した。

  • 高知県四万十市で自動走行の実証実験を行ったヤマハ発動機の自動運転モビリティ。

    高知県四万十市で自動走行の実証実験を行ったヤマハ発動機の自動運転モビリティ。(出所:ヤマハ発動機)

今回の実証実験の舞台となった西土佐地域は、基幹公共交通であるJR予土線において、沿線の人口減少や少子高齢化などに伴う利用者数の減少が大きな課題になっている。そこで四万十市・JR四国・国土交通省 四国地方整備局・高知県と関係団体が協力し、JR予土線の利用促進と沿線地域振興を図るため、自動運転モビリティの導入を検討しているという。

そして2022年8月、JR江川崎駅~道の駅「よって西土佐」間の約1kmにおいて自動運転を、よって西土佐から設定したホテルまでの約1kmにおいて手動運転を実施し、各種検証を行ったとする。

西土佐地域はその特徴として、山に囲まれた地域の上、走行ルートに木々や建物などの遮蔽物が多いため、衛星測位システム(GNSS)が不安定な環境であることが挙げられる。

そこで同実証実験では、愛知製鋼によるシステム開発協力のもと、自動走行ルートに約1000個の磁気マーカを埋設し、車両の底部には磁気センサモジュールを搭載。同モジュールが走路の磁気マーカの微弱な磁力を検出し、自車の位置を推定する自動運転支援システム「磁気マーカシステム(GMPS)」による低速車両での自動走行を実施した。

  • 磁気マーカシステム(GMPS)の概要。

    磁気マーカシステム(GMPS)の概要。(出所:ヤマハ発動機)

GNSSを用いないシンプルなシステム構成ながら、正確に車両の位置を推定できるGMPSによる走行を行った結果、目標とする走行経路に対して、精度±10cmという自動走行の安定性を確認したうえ、車両システム棋院での走行経路からの逸脱もなく、車両位置検出における外乱からの影響にも強いことが確認されたとしている。

ヤマハ発動機は今回の活動を受け、低速車両をベースとする自動走行に利用されてきた電磁誘導システム、LiDARシステム、GNSSに加え、GMPSが加わったことで、環境に合わせた自動走行システムの選択肢がさらに広がったとする。そして今後は、今回の実証実験を通じて得られた知見を基に技術を成熟させることを目指し、更なる検証を重ねていくとした。