NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、NTTドコモ、およびNTTは2022年に、ラグビーチーム「浦安D-Rocks」を擁する事業会社として「NTT Sports X」を立ち上げた。NTT Sports Xはこのほど、チームに所属するアスリート社員の引退後のセカンドキャリアを支援するための「C-Rocks」プロジェクトを開始した。ちなみに、Cは"Career"に由来するそうだ。

  • 研修を受ける浦安D-Rocksの選手たち

    研修を受ける浦安D-Rocksの選手たち

浦安D-Rocksにはプロ契約している選手ばかりでなく、実は約半数が社員選手として所属している。社員選手はNTTグループの社員としての契約であり、引退後にはグループ会社内で次のキャリアを歩み始めることとなる。これまでは、バックオフィス系の業務に従事するOBが多かったそうだ。

「C-Rocks」プロジェクトでは、現役選手であるうちから引退後を見据えたキャリア哲学や考え方を学ぶことで、各選手の柔軟な進路選択を支援する。座学だけでなく、キャリアコンサルタントとの定期的な面談を通じて、引退後に仕事で活躍することの意義や、引退後の業務においてビジネスパーソンとしてチームに与える影響について考える機会の創出を狙っている。

  • 「C-Rocks」プロジェクトの目標(研修資料)

    「C-Rocks」プロジェクトの目標(研修資料)

同プロジェクトはもう一つ、実はラグビー選手を目指す学生にとっても有意義な取り組みであるという。社員として入団したラグビー選手が引退後にセカンドキャリアで活躍することで、魅力を感じた有望な学生の入団による戦力強化が期待できるとのことだ。

さらに、引退した選手を抱える上司にとっても有用な取り組みだと考えられる。現役の社員選手との定期的な面談によって選手の悩みや課題を聴取すれば、ラグビーのみならずNTTグループに所属する元アスリート社員のキャリア指導に用いるマニュアルを作成できるからだ。

  • プロジェクトが期待する3つの影響(研修資料)

    プロジェクトが期待する3つの影響(研修資料)

ラグビーは8月中旬にシーズンインし、本格的な練習を開始する。12月~翌5月までがレギュラーシーズンとなるため、オフシーズンである今の時期が「C-Rocks」プロジェクトの始動タイミングにうってつけだったようだ。

現在、チームには27人の現役社員選手が所属している。このメンバーは7月に第1ステップとして、キャリア哲学と社員選手としてのキャリア論を学ぶ。その後にキャリアコンサルタントとの面談を通じて、自身の引退後のキャリアを明確にしていく。

今回のプロジェクトでキャリアコンサルタントを務める、NTT Comヒューマンリソース部の浅井公一氏は「現役の社員選手は営業やエンジニアといった職種のみに注目してキャリアの軸を考えがちだが、そうではなく、年収や職位、勤務地などもキャリアの軸となり得ることを伝えたい。元スポーツマンならではの忍耐力や創意工夫が、社内の組織に還元されることを期待する」とコメントしていた。

  • キャリアコンサルタントからのメッセージ

    キャリアコンサルタントからのメッセージ

同プロジェクトは浅井氏をはじめ、NTT ComおよびNTTグループの人事制度や社内の運用を理解している、キャリアコンサルタントの国家資格を持ったスタッフが直接選手と研修や面談を対応する点が特徴的だ。外部講師を招く研修とは異なり、社内の実態に即したアドバイスを提供できる利点があるとしている。

現代では、キャリアは会社から与えられるものではなく、自身でデザインする時代へと変化している。浦安D-Rocksのコーチによると、スポーツ選手は試合で見つかった課題に対して、それを改善するための練習を組み立てる能力が優れているという。引退後の選手の活躍にも期待したい。

  • 「C-Rocks」プロジェクトのスケジュール

    「C-Rocks」プロジェクトのスケジュール