Ridge-iは7月5日、人工衛星の光学カメラで撮影した画像に映り込む建物の影などを取り除き、もともと存在していたものを映し出す画像処理技術(影除去技術)を開発し、それに関する特許を取得したことを発表した。
軌道上から広い地域を見下ろせる衛星画像は現在、軍事利用だけでなく、民生用途でもさまざまな分野で活用されている。しかし光学画像には一般的に、高層建造物などによる長く濃い影や、雲などで地上の様子が確認しづらい・もしくは確認できなくなるような“ノイズ”が存在しており、これは人による目視確認や画像解析処理において問題となってしまう。
このような状況を受け、同社では2019年から衛星画像に関する研究開発を進めてきており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)より委託を受け、衛星データ(光学・SAR)を活用した土砂崩れ箇所の解析や、モーリシャス沖での船舶座礁事故による重油流出の検出など、衛星画像の利活用について取り組んできたという。
その中で、実際に衛星画像を目視判読しているユーザから、「ノイズがあると、目視確認に時間がかかる」という声や、「影などで黒くなっている箇所も、ほかの部分と同じ明るさで表示されると作業が効率的になる」という要望が届いていたとのことで、そうしたニーズに応えるべく影除去技術の開発を進めてきたという。
影除去技術は、衛星画像内の影を検出し、その部分をほかの色調と同等なものに変換することで、影がない状態の画像を生成するというもの。現在は衛星画像を預かり、影が除去された画像を生成してから提供するという形態だが、将来的には、Tellusなどの衛星画像プラットフォームに搭載できるよう追加開発を検討中だとしており、より多くの人が影除去技術を利用できるようにすることで、衛星画像の有効活用を促進していきたいとしている。
なお想定される活用事例としては、機械学習で衛星画像解析処理を行う際の前処理作業、衛星画像を目視判読する際のダブルチェック、精度向上を目的とした機械学習へ衛星画像を適用する際の前処理作業、影除去技術を活用して、雲検出も想定したノイズ除去技術の展開などを同社では挙げており、今後も衛星画像解析分野での知見を基に「AI・データを活用した最先端技術でビジネス・社会課題を解く」というミッションを実現するべく、AIの技術革新と市場変化を敏感に捉えて社会貢献を果たしていきたいとしている。