中国の商務省と税関総署は7月3日、半導体デバイスの基板材料になるGa関連製品8品目およびGe関連製品6品目を輸出規制の対象にすると発表した。
2023年8月1日から中国の輸出業者は中国商務省と税関総署に輸出許可申請し、許可されない限り輸出できなくなる。規制品目には、GaAs、 GaN、Ga2O3(多結晶、単結晶ウェハ、エピウェハやインゴット)だけでなく結晶製造用の粉末やスクラップも含まれる。中国は供給されるGaの9割を産出しており日本は大量に輸入してきたため、日本の半導体産業への影響は避けられない。日本は、半導体素材大国と言われているが、精製や加工を得意としており、原材料については海外、特に中国に依存している場合が多い。
今回の中国政府の素材輸出規制は、米国が進める先端半導体輸出規制の強化に対する対抗措置とみられており、今後、レアアースなどの輸出規制へと拡大する可能性もありそうである。
7月3日に発表された「GaおよびGe関連品目の輸出規制の実施に関する商務部および税関総署公告 2023年第23号」の要旨および規制品目全リストは以下の通り。
中国政府は、国家安全を守るため、「中華人民共和国輸出管理法」、「中華人民共和国外国貿易法」、「中華人民共和国関税法」の関連規定に従い、GaとGeに関連する品目の輸出規制を実施することを決定し、以下の品目を当局の許可なく輸出してはならないとしている。
Ga関連
- 金属ガリウム(単体)
- 窒化ガリウム(ウェハ、粉末、スクラップなどを含むがこれらに限定されない)
- 酸化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェハ、エピタキシャルウェハ、粉末、スクラップ等を含むがこれらに限定されない)
- リン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェハ、エピタキシャルウェハなどを含むがこれらに限定されない)
- ガリウムヒ素(多結晶、単結晶、ウェハ、エピタキシャルウェハ、粉末、スクラップなどを含むがこれらに限定されない)
- インジウムガリウムヒ素
- セレン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェハ、エピタキシャルウェハ、粉末、スクラップ等を含むがこれらに限定されない)
- アンチモン化ガリウム(多結晶、単結晶、ウェハ、エピタキシャルウェハ、粉末、スクラップ等を含むがこれらに限定されない)
ゲルマニウム関連
- 金属ゲルマニウム(単体、結晶、粉末、破砕物等を含むがこれらに限定されない)
- ゾーン溶解ゲルマニウムインゴット
- リンゲルマニウム亜鉛(結晶、粉末、破砕物等を含むがこれらに限定されない)
- ゲルマニウムエピタキシャル成長基板
- 二酸化ゲルマニウム
- 四塩化ゲルマニウム
なお2023年8月1日以降、輸出事業者は関連規定に従って商務部に輸出許可申請書および各種付属書類を提出し許可を得る必要があり、許可の範囲を超えて輸出したり、その他の違反行為をした場合、商務省および税関は関連法令に基づき行政罰を課すことができるとされている。また、犯罪を構成する場合は刑事責任を問うともされている。
日本政府の西村経済産業相は7月4日の会見にて、中国側に同規制の意図や運営方針を確認したうえで、不当な措置であれば適切に対応していく考えを示している。