パナソニック コネクトは7月4日、独自の理論企業価値算出方法を定義したと発表した。そして中期計画期間(3年間)の理論企業価値の増減率を役員報酬のLTI(Long Term Incentive)評価と連動する制度を2023年度より導入した。中長期的な企業価値向上を意識した事業立地改革と戦略の推進を加速することが狙い。
一般的に、非上場企業には上場企業のように企業価値の指標が定まっておらず、その算定基準も明確でないため、本来、企業として重要視すべき企業価値向上のための改革や施策に対する評価が難しいという背景があるという。
そこで同社は、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)とマルチプル(評価倍率)をベースとした理論企業価値の算出方法を定義。同社独自の算出方法により、従来からある販売や営業利益の計画比や前年比といった企業内の相対的な指標に加えて、資本市場目線や投資家目線といった、より客観性の高い企業価値の算出ができるようになった。
具体的には、、同業上場会社の株価を参考とする株価倍率法を用い、事業部ごとに理論企業価値を算出し、合計したものをパナソニック コネクトの理論企業価値と定義。したがって同社の企業価値を向上するためには、各事業が収益力を高めてEBITDAを向上させることと、事業立地が良く、成長期待が高い事業や商品・サービスへシフトすることによりマルチプルを高める事が条件となる。
そしてパナソニックコネクトは、この理論企業価値の増減を3年間という長期的な目線で役員報酬に取り入れた制度を2023年度より導入した。役員報酬に反映される企業価値を、各事業部の企業価値を合計したパナソニック コネクト全体の企業価値とする。各事業責任者が個別事業視点のみに陥らずに全体最適で判断する、また職能責任者も全体を見てその役割を発揮するという、より高い経営視点の醸成を図るとのことだ。