楽天コミュニケーションズは7月4日、コンタクトセンターサービス「楽天コネクト」シリーズの新サービスとして、クラウド型コンタクトセンターシステム「楽天コネクト SmaCom」の提供を発表した。同サービスは9月1日から提供が始まる。

前日に開催された発表会には、楽天コミュニケーションズ 代表取締役COOの金子昌義氏、同社 コネクトセンターエンジニアリング部 副部長でエバンジェリストの田中幸氏が登壇し、新サービスにと事業戦略について紹介した。

本稿では、その一部始終を紹介する。

  • 左から楽天コミュニケーションズ 代表取締役COOの金子昌義氏、コネクトセンターエンジニアリング部 副部長でエバンジェリストの田中幸氏

新サービスに向けた戦略における8つの柱

「楽天コネクト」は、楽天コミュニケーションズが提供するコンタクトセンターサービスのブランド。大規模コンタクトセンター向けサービス「楽天コネクト Storm」、小・中規模コンタクトセンター向けサービス「楽天コネクト Speed」、AIにより電話営業や顧客対応を可視化するIP電話サービス「楽天コネクト × MiiTel」の3サービスから構成されている。

今回発表された「楽天コネクト SmaCom」は、同社が10年以上積み重ねてきたコンタクトセンター基盤の構築・運用実績から得られた知見・ノウハウを集約して開発したサービスとなっている。

「楽天コネクトStormは、日本でもコンタクトセンターソリューションの主役がオンプレミス型からクラウド型にシフトしたことをきっかけに開発されました。その後、コロナ禍を経て、在宅勤務の増加やオムニチャネル化の加速、CSの重要性の再確認、顧客データの積極活用などが起こったことによって、急速に普及しました。最初は楽天グループ内での利用がメインでしたが、その後、グループ外の大手企業さまで活用が拡大しています」(金子氏)

  • 楽天コネクトの歴史を語る金子氏

このように広く普及している楽天コネクトシリーズだが、次なる新サービスの戦略の柱は8つあったという。

戦略の柱とは「CSからCX」「ワークプレイスのモビリティ向上」「オペレーターの採用難」「固定電話からスマホへ」「災害対策」「在宅勤務の定着化」「電話からメール・チャット・SMSへ」「FAQ・チャットボット・AIを活用した自動化」の8つだ。「楽天コネクト SmaCom」は、この8つを満たすサービスと考えられている。

楽天コネクト SmaComの特徴

「楽天コネクト SmaCom」は、場所やチャネルを問わず、スマホオリエンテッドに使用できることで、「常にお客様さまに最高の顧客体験(CX)を」ということをサービスコンセプトに敷いている。

また、2020年に発売された「楽天コネクト Speed」と比べて、コンタクトセンター機能が強化された上、低価格での提供を実現している。それに加え、クラウドPBX機能の提供も行う。

「楽天コネクト SmaComの特徴は、『スピーディーで低価格』『利便性』『多機能・拡張性』『トータルサポート』の4点です。利便性の具体例としては、『インターネット環境とパソコンのみでご利用可能』であること、『オフィスの電話機をスマホでリプレース』できること、などが挙げられます」(田中氏)

  • 楽天コネクト SmaComの特徴を語る田中氏

「多機能・拡張性」の面では、コンタクトセンターライセンスに「ダイヤラー」「簡易CRM/FAQ」の機能が装備されていることや、API利用で柔軟な外部連携が可能であることなどがある。

加えて、24時間365日のサポート体制を整備しており、楽コムの電話回線を含めたワンストップ提供の形を取っているという。

また、特徴の一つでもある「価格」の詳細は以下のようになっている。

  • 楽天コネクト SmaComの料金形態

各サービスのライセンスの詳細は以下のようになっている。

・コンタクトセンター ベーシック(月額1980円/席)
顧客からの問い合わせ電話対応のために、手軽にコンタクトセンターを立ち上げられるライセンス。低コストでありながら、IVR(自動音声ガイダンス)やACD(着信コントロール)など、コンタクトセンターとして必要な機能を兼ね備えている。

・コンタクトセンター アドバンス(月額5980円/席)
ベーシックの機能一式に加えて、オペレーターのステータス状況や待ちコール数などがリアルタイムに確認できるレポートや、モニタリングやささやき機能といったスーパーバイザー用の機能を搭載しているライセンス

・コンタクトセンター アウトバウンド+(月額7980円/席)
顧客への架電業務をスマートに効率化する、アウトバウンド業務に役立つライセンス。事前登録したリストへ自動発信する機能も用意されている。

・ビジネスフォン(月額580円/ID)
インターネットにつながれば使えるビジネスフォン。クラウドのため、電話機やPBX(電話交換機)は不要で、オフィス業務に必要な受発信や保留・転送が可能。テレワーク環境でも使えるライセンス。