情報処理推進機構(IPA)は7月3日、Society5.0実現に向けてデジタル社会に必要な社会基盤づくりを担う「デジタル基盤センター」を、7月1日付で新設したことを発表した。同センターでは、社会や産業を構成する各システムに対してデジタル社会の基盤を提供することで、多様なプレイヤーが自由にビジネスを展開し、マーケットやサプライチェーンを形成して変革やイノベーション創出に取り組むことを促すという。
さらに、エンジニアリングを基礎に、社会の変革とイノベーションを促進するデータスペースを構築して、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、イノベーターの発掘と育成などを再整理することで、社会全体の変革を図るとしている。
センターの柱となるデータスペースグループでは、日本のデジタル競争力の強化を目的として、欧州などで先行する新たな経済圏であるデータスペースの取り組みを開始する。データスペースとは、国や分野や組織を超えたインターネット上の活動空間を指す。ここでは、サプライチェーン情報や環境情報といったさまざまなデータが交換・共有される。
国際的な新たな経済活動の枠組みとして注目されており、その実現のためのルールや技術仕様などの検討が国際的に進められているという。そこで同グループは、データの標準体系の整備と、その体系に基づく設計を進める。データ連携やAI(Artificial Intelligence:人工知能)の活用など、社会全体で同じ機能を開発するのではなく、協調するべき領域の明確化と共通機能の提供を通じ、社会改革を支援する。
なお、センターは約100人でスタートし、グローバルな連携を図りつつ体制の強化を図るとのことだ。また、経済産業省やデジタル庁など関係機関と協力して、2025年までに基本的なデジタル基盤などの仕組みを提供するとしている。