AWS ジャパンは7月3日、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)の開発を行う日本に法人または拠点を持つ企業・団体を支援する「AWS LLM 開発支援プログラム」の応募受付を開始すると発表した。
同プログラムでは、LLM 開発を行うための計算機リソース確保に関するガイダンス、AWS 上での LLM 事前学習に関わる技術的なメンタリング、LLM 事前学習用クレジット、ビジネス支援等のサポートを提供する。
代表執行役員社長 長崎忠雄氏は、同プログラムが日本独自のモノであることを強調して、提供する背景について、次のように説明した。
「生成系AIが大きく注目されており、あらゆるセグメントでその利用が広がる可能性が話し合われている。顧客の体験も生成系AIで作り替えられるかもしれず、刺激的な転換点が訪れていることは間違いない。われわれはこれまで、誰もが機械学習を使えるように、投資と技術革新を続けてきた。そうした中、多くの顧客と話をしてきたが、生成系AIについてガイダンスを求める声が高まっている」
新プログラムについては、スタートアップスタートアップアーキテクトシニアマネージャーの塚田朗弘氏が説明を行った。同氏は、新プログラムのポイントの一つとして、日本国内に法人・拠点を持つ最大10程度の企業・団体に、LLM 開発に必要な4つの支援を提供することを挙げた。
4つの支援とは、「計算機リソース選定と確保のガイダンス」「技術相談やハンズオン支援」「LLM 事前学習用のAWSクレジット」「ビジネスプラン、ユースケースに関する支援」だ。
例えばAWSは、基盤モデルと生成系AIアプリケーションを開発・横展開するサービスとして、「Amazon Bedrock」を提供している。同サービスでは、Amazon, AI21 Labs, Anthropic, Stability AIといった複数の基盤モデルから選択することができる。
また、Amazon EC2においては、機械学習に適したチップとして、同社が開発した「AWS Inferentia」や「AWS Trainium」を提供している。新プログラムでは、こうした同社のサービスの活用について、AWS の技術エキスパートからサポートを受けられる。
LLM 事前学習用のAWSクレジットとしては、総額で600万USドル規模が、事前学習用のワークロードに必要な計算機リソース等の費用として一部支援される。塚田氏は、クレジットについて、「ビジネスユースケース、パラメータによって、プロジェクトの規模が異なるので、状況に応じた額を支援する」と説明していた。
ビジネスプランに対する支援としては、AWS Marketplaceへの掲載のほか、他の企業と連携したいというニーズに応え、VCとの橋渡しも支援できるという。
同プログラムの応募は7月3日から始まり、7月21日に締め切る。その後、8月初旬から11月末までをLLM開発支援期間とする。12月には、プログラムの成果発表会を開催する予定だという。