立命館大学は6月30日、ポーラ化成工業との共同実験により、40代~50代の女性を対象とした運動介入で、有酸素性運動と筋力トレーニングの両方が皮膚の弾力性と真皮細胞を改善させることを発見。特に筋力トレーニングは、真皮の厚みを増加させ、若々しい外見に貢献する可能性があることを解明したと発表した。

  • 今回の研究の概要図。

    今回の研究の概要図。(c)ポーラ化成工業(出所:立命館大)

同研究成果は、立命館大 スポーツ健康科学部の藤田聡教授、ポーラ化成工業 フロンティアリサーチセンターの錦織秀研究員らの共同研究チームによるもの。その詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

日々の運動は、脳や筋肉の老化に対してアンチエイジング効果を示すことが知られているが、皮膚に対してどのような効果を有するのかについては、よくわかっていなかったという。特に、筋力トレーニングが皮膚に対して発揮する効果については、世界的にも先行研究が無く、そのメカニズムも不明だったとする。

そこで研究チームは、40代~50代の女性(61名)を対象に、有酸素性運動の群と筋力トレーニングの群に分け、4か月間にわたって週2回の運動を行う実験を実施。その前後で皮膚計測・採血・体組成測定・運動パフォーマンス評価などを行い、運動介入による変化を解析したとのことだ。また併せて、運動前後に採取した血液の成分分析や、血液サンプル(血しょう)が培養真皮線維芽細胞の真皮の細胞外基質(ECM)における遺伝子発現量に与える影響の解析により、運動による皮膚老化改善メカニズムの解明を試みたとする。

実験の結果、両群ともに皮膚老化の指標である皮膚弾力性と真皮構造が改善されたことを発見。その機序として、運動による血中成分の変化が真皮のECMを増加させることを明らかにしたという。

さらに研究チームは、筋力トレーニングが加齢によって薄くなっていく真皮の厚みも改善させることも解明し、その機序として、筋力トレーニングによって血中の炎症性ケモカイン(CCL28とCXCL4)が減少し、その影響で真皮ECMの一種であるバイグリカンが増加していることを見出したとしている。

今回の研究により、筋力トレーニングが健康維持だけでなく美肌にとっても良い作用を持つことが、科学的に示されたとする。これにより、運動を始めるきっかけや継続のモチベーションとして役立つことが期待されるとした。