ヤンマーは6月30日、同社グループ会社のヤンマーパワーテクノロジー(YPT)が、日本財団の「ゼロエミッション船の実証実験にかかる技術開発助成プログラム」において、燃焼時にCO2を排出しない水素を燃料とした内航船舶用の「水素専焼4ストローク高速発電エンジン」の開発を開始することを発表した。
同プロジェクトでは、水素エンジンの開発と同時に、水素エンジン発電機とバッテリーの組み合わせによる「水素エンジン対応のハイブリッド電気推進船」の開発も行うとしている。これは「水素燃料エンジン」と「水素燃料供給システム」を、コンテナユニット型の水素発電装置として上甲板部分に搭載することができる新たな船舶の形で、船舶の開発・建造は、上野グループの海運会社である上野トランステックが担当するとしている。
YPTでは、小型船舶向けの推進エンジン(主機関)としての用途も視野に入れつつ、水素インフラ普及までの船舶運航を考え、少量の着火用バイオ燃料と水素混焼により、ゼロエミッション化を図る「パイロット着火式」エンジンと、「火花点火式」による水素専焼エンジンを同時に並行して開発していく計画としており、2024年からパイロット着火式の6気筒水素エンジンによる陸上実証試験を開始し、2026年の実証運航を目指すとしている。
また、同型式の火花点火式水素専焼エンジンによる陸上実証試験を同時並行で進め、水素エンジン対応電気推進船舶の普及を図るべく、その先駆けとして2030年ごろからの水素エネルギーを基にした内航船舶のゼロエミッション化に取り組む予定としている。