Micron Technologyは6月28日、2023会計年度第3四半期(2023年3~5月)の決算概要を発表した。

それによると売上高は前年同期比56.6%減、前四半期比1.6%増の37億5200万ドルで、GAAP純損失は19億ドル、Non-GAAPベースの純損失は15億7000万ドルとなった。

2023会計年度第4四半期(2023年6~8月)のガイダンスは39億ドル±2億ドルと前四半期比でプラス成長の見通しを示しており、米国の証券業界関係者からも同社売り上げはマイナス成長に歯止めがかかり、今後の再成長を期待する向きもでている。

懸念点は中国当局の制裁

MicronのCEOであるSanjay Mehrotra氏は、2023会計年度第3四半期の売上高、粗利益、EPSのすべてがガイダンスの中間点を上回ったことを強調。メモリ業界の不況は底を打ったとの見方を示しており、需要と供給のバランスが徐々に回復するにつれて利益率も改善するとの予想を述べている。

また、最近の中国サイバースペース管理局(CAC)のMicronのメモリに対する「ネットワークセキュリティ審査不合格」の決定は重大な逆風となるとの見方を示す一方、長期的には、技術リーダーシップ、製品ポートフォリオ、優れた運用により、AIやメモリ中心のコンピューティングなどをはじめとした多様な成長市場における競争力が強化され続けることが期待されるともしている。

インドにメモリの組み立て・テスト工場を新設へ

また同社は6月22日には、インドのグジャラート州に新たな組み立て・テスト工場の建設計画を発表した。この新工場では、DRAMとNAND両方の組み立てとテストが行われる予定で、同社では、市場全体で予想されるメモリとストレージに対する長期的な需要に応え、自社の掲げる組み立ておよびテストネットワークを補完するという戦略の一環であるとしている。

新工場は、2023年中に建設を開始する予定で、組み立て・検査拠点ではBGAパッケージングを中心に、メモリモジュールやSSDの組み立てを行うという。生産は2023年中に開始される予定で、第1フェーズでは50万平方フィートのクリーンルームが含まれ、2024年後半より稼働を開始する予定である。2020年代後半に第2フェーズとして第1フェーズと同規模の工場建設を行う予定だともしている。同社では、グジャラート州を選んだ理由について、製造インフラ、有利なビジネス環境、SANAND工業団地(グジャラート産業開発公社 - GIDC)に確立された人材パイプラインなどを挙げている。

この投資プロジェクトは2段階合計で最大8億2500万ドルが予定され、今後数年間で最大5000人の直接雇用と1万5000人の間接雇用が創出されるという。また、インド政府の「修正組立、試験、マーキングおよび包装(ATMP)制度」に基づき、同社はインド政府から総プロジェクト費用の50%の財政支援を受けるほか、グジャラート州から総プロジェクト費用の20%に相当する奨励金を受け取ることが予定されており、Micronの自社負担分と合わせた投資総額は最大27億5000万ドルとなる見通しだという。