夏本番。暑さを吹き飛ばす冷たいビールが美味しい季節になるが、サッポロビールは「AI需要予測システム」を7月1日から本格的に運用する。日鉄ソリューションズ(NSSOL)の支援を受けて開発するシステムは、ビールやすぐに飲める缶アルコール飲料RTD(Ready to Drink)の製造出荷の需要予測を行うAIシステムで機械学習プラットフォーム「DataRobot」を採用。2022年10月からデータ分析・試験モデルの作成に取り組み、商品情報や過去実績、競合情報や類似品実績などのデータから半年間で約40アイテムの検証を行っている。当初は"人"による予測には及ばなかった予測精度も、学習を重ね"人とAI"が協働することで約20%の向上を実現し、7月1日から本格運用を開始する。
多様な流通を経て消費者の喉元に届けられる商品の需要予測は、従来サプライチェーン担当者が4カ月間先の予測を行っている。例年の実績や販促施策など経験に基づき行うものだが、属人化や技能継承に課題があり、需要予測業務の効率化・高度化を図るべくシステムが導入されている。システムは商品発売前の約16週間前から予測を開始、受注状況を反映しながら需要予測を行うことで最適化されたサプライチェーンの計画が期待できる。
サッポロホールディングスでは、約6000人を対象としたDX・IT人財育成プログラムを始動させるなど"全社員DX人財化"を目指した取り組みを進めている(ニュース記事)が、今回の取り組みは、"AIに需要予測を任せるのではなく、AIを育成・運用することでこれまでの予測ノウハウを組織知として蓄積・継承しながら業務をより高度化させる"狙いがある。