Omdiaによると、2023年第1四半期の半導体市場は前四半期比9%減の1205億ドルとなり、5四半期連続で前四半期比でマイナス成長を記録したという。

これは、Omdiaが2002年に市場調査を開始して以来、最長の記録であるという。半導体市場は、新型コロナの世界的なパンデミックを背景とした特需を背景に、2020年第4四半期から2021年第4四半期にわたってプラス成長を継続し、過去最高売上高を達成した後、これまで5四半期連続でマイナス成長が続いてきたことになる。

  • 半導体市場の四半期推移と前四半期成長率

    半導体市場の四半期推移と前四半期成長率 (出所:Omdia)

半導体市場の主要分野であるメモリとMPUが市場低迷の主要因であり、2023年第1四半期のMPU市場は同35%減の131億ドル、メモリ市場も同56%減の193億ドルに留まる結果で、2分野合計でも同19%減となり、半導体市場全体の脚を引っ張る結果となった。

売上高トップ10から消えたメモリ企業

2023年第1四半期の半導体企業売上高ランキング上位10社をみると、異変が起こっている。2022年第1四半期にはトップ5中にメモリ企業はSamsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyの3社がランクインしていたが、2023年第1四半期になるとSamsungが2位にランクインした以外、トップ10圏外に姿を消している。SK hynixとMicronがともにランク外になるのは2008年以来だとOmdiaでは説明している。

  • 2023年第1四半期の半導体企業売上高ランキングトップ10

    2023年第1四半期の半導体企業売上高ランキングトップ10 (出所:Omdia)

苦戦する半導体業界の中において、もっとも好調なのはNVIDIAで、生成AI向けGPUに対する需要の高まりが予想を上回る状況となっており、Omdiaの調査では前四半期比11.6%増となっているが、NVIDIAの決算発表前の予測値で、実際には同19%の71億9000万ドルと大きく伸ばしている。

生成AI向けGPUの注文殺到により、現在の半導体業界において同社は一人勝ち状態にあり、株価の時価総額も1兆ドルを超す(2023年6月28日時点)など、存在感を日に日に増している。前年同期12位だったInfineon Technologiesも、自動車分野で強みを発揮したことで、同11.1%増と2桁成長を達成し、トップ10入りを果たしている。