パナソニック コネクトは6月28日、国内全社員約1万3400名に展開している米OpenAIの大規模言語モデルをベースに開発した自社向けのAI(人工知能)アシスタントサービス「ConnectAI」を自社特化AIへと深化させると発表した。自社の公式情報も活用できるよう機能を拡大し、業務での活用を目的とした試験運用を開始する。2023年10月以降にカスタマーサポートセンターの業務への活用を目指すとのことだ。

  • パナソニック コネクト社員が「ConnectAI」を利用している様子

    パナソニック コネクト社員が「ConnectAI」を利用している様子

同社は2023年2月より、生成AIによる業務生産性向上と、社員のAIスキル向上、またシャドーAI利用リスクの軽減を目的に、ChatGPTをベースとしたAIアシスタントの運用を開始している。その中で、「自社固有の情報に関する質問には回答はできない」、「引用元などが不明のため回答の正確性を確認できない」、「長いプロンプト(指示や命令を出すこと)入力にはハードルがある」といった課題が見えてきたという。これらの課題を解決するため、公式の自社情報に対しても回答できる自社に特化したAIの運用を目指す。

  • 自社特化AIへと深化させるための検証を6月より開始する

    自社特化AIへと深化させるための検証を6月より開始する

具体的には、公式の自社情報をConnectAIと連携し、有効に機能するか、セキュリティ上問題はないか、といったことについて検証を行う。2023年6月よりプロジェクトを開始し、9月から1カ月間、自社公式情報に基づいて回答ができるAIアシスタントの試験運用を社員に公開し、評価を行う。ウェブサイト・ウェブページが約3700ページ、ニュースリリースが495ページ、対外向けの公式ホームページ3200ページが対象となる。

なお、利用技術はセマンティック検索を採用。同技術は、大規模言語モデルはそのまま活用しつつ、自社データは別のデータベースに保管し、ユーザーのプロンプトに応じた自社データを挿入することで企業固有の回答を可能とするものだ。

  • セマンティック検索の仕組み

    セマンティック検索の仕組み

また、プロンプトを音声で入力できるようにするほか、AIを活用する社員個人が回答結果の真偽を検証できるよう、回答の引用元を併せて表示する機能を開発し、9月からの試験運用期間を通じて有効に機能するか、また情報漏洩に問題がないかという点について、併せて検証する。

同社は今後、試験運用の結果を受け、2023年10月以降は自社固有の社外秘情報に回答してくれるAIの活用も開始する予定。カスタマーサポートセンターのデータを活用し、顧客への回答に向けた社内業務改善・業務効率化につなげたい考えだ。また、2024年度以降に個人特化AIとして、個人の役割に応じた回答をしてくれるAIの活用の検討も進めていく方針だ。

  • パナソニック コネクトは今後、AI活用を4段階で深化させていく

    パナソニック コネクトは今後、AI活用を4段階で深化させていく