韓国のフォトレジストメーカーであるDongjin Semichem(東進セミケム)が、2023年下半期に高NA(NA=0.55)EUV露光向けフォトレジストの開発を計画していると韓国や台湾の複数メディアが報じている。
それらによるとASMLが、2nm以下の半導体量産に向けて2025年に高NA EUV露光装置の量産モデルを提供開始する予定で、Dongjin Semichemでは、その動きにあわせて2025年上半期にも対応レジストの技術開発を完了させることを目指すとしている。
2019年に日本政府が韓国に対するEUVレジストの輸出規制を実施したことを受け、韓国政府およびSamsung Electronicsの要求もあり、Dongjin Semichemは国産EUVレジストの開発を行ってきた経緯がある。このレジストは、すでにSamsungに出荷されているようだが、今回新たに開発を決めた高NA EUV露光用レジストも主にSamsung向けとみられ、化学増幅レジスト(CAR)や金属酸化膜レジスト(MOR)、固体レジストなどといった複数の高NA EUVフォトレジストの開発を進めるものとみられているが、おそらくSamsungとNDAが交わされており、詳細については明らかになることはないものと思われる。韓国の半導体業界関係者によると、Dongjinは将来的に市場シェアの多くを獲得することを目指しているという。
韓国半導体産業は、2019年の日本政府による輸出規制厳格化当時、ベルギーimecおよびJSRの合弁企業であるEUV Resist Manufacturing & Qualification Center(EUVRMQC)からレジストを輸入する形で難を逃れた、その後、韓国政府が米DuPontのEUVレジスト製造工場と研究組織を国内誘致したほか、東京応化もSamsungのグループ会社と合弁の形で韓国にEUVレジストを含む各種フォトレジストの量産体制を整備するなど、外国企業の誘致を積極的に進めており、それと並行して国内企業の育成を進める形で、サプライチェーンの多元化を図ろうとしている模様である。