ユーグレナとジーンクエストは6月23日、ユーグレナが提供する「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」と、ジーンクエストが提供する遺伝子解析サービス「ジーンクエスト ALL」において、「ポリジェニックスコア」と呼ばれる手法を用いることで、これまでよりも高い精度の遺伝的な健康リスクや体質傾向の提供を開始したことを発表した。
ポリジェニックスコアとは、発症リスクに複数の遺伝子が関わる病気や体質において、数十から数万か所の遺伝子の違いに対してさまざまな重みづけを行った上で総合するスコアのこと。遺伝的な病気の発症リスクをより高い精度で評価できるため、より個人に応じた情報提供が可能となるという。
近年の遺伝子研究により、生活習慣病や身長、体重などは、多くの遺伝子が関わっていることが解明されてきている。このような病気や体質に関係する遺伝子のほとんどは、単体での影響力は小さい一方で、その変異が数十から数万と集まり影響しあうことで、病気の発症リスクや体質に影響を与えることが分かっているという。
そうした中でユーグレナとジーンクエストが今回提供する遺伝子検査サービスは、がんや糖尿病などの個人の健康リスク、太りやすさなどの体質および祖先の遺伝的傾向について、350項目以上の遺伝子型を解析し、結果を提供する。
これまでは1か所から数か所の遺伝子の違いを基に、病気の発症リスクや体質の傾向が評価されていたが、同サービスでは数十か所から数万か所の遺伝子の違いを考慮することで、これまでよりも高い精度かつより個人に応じた情報提供が可能になったという。
また、自分と同じ健康リスクタイプの人が、どの年代でどの程度の割合で病気にかかっているかや、どのような体質傾向にあるのかも詳しくわかるようになったとのこと。
例えば、2型糖尿病の項目では「リスクの高いタイプ」「比較的リスクの高いタイプ」「一般的なタイプ」「比較的リスクの低いタイプ」「リスクの低いタイプ」と健康リスクに合わせて5つのタイプに分けられており、どの年代でどの程度の割合で2型糖尿病にかかっていたかを年代別に判定。
すると「リスクの高いタイプ」の場合、50代で約10%、70代で約20%だが、「リスクの低いタイプ」の場合、50代で約2%、70代で3%未満と、同じ年代でもタイプによってリスクが大きく異なることがわかるとしている。
自分と同じ健康リスクタイプの人の傾向を知ることで、生活習慣の早期改善に取り組んだり、積極的に健康診断や特定の病気の検査を受けたりするなど、個人の健康リスクに応じた予防や将来の自分を予測するヒントとなるだろう。
さらに、より高い精度の情報提供が可能になった遺伝子検査を健康診断や医療機関で導入することで、遺伝的な健康リスクの高いタイプの人には生活習慣の早期改善を促すなど、個人のリスクに応じた予防アドバイスなどにも活用することができるとしている。
なお、今回ポリジェニックスコアを用いて情報提供が開始される項目は「2型糖尿病」と「BMI(体格指数)」の2つであり、すでに検査を実施済みのユーザーは新たに検査を受ける必要はないとする。また、検査結果はこれまで通りマイページから見ることができるという。
両者は今後も、研究によって生み出される成果を活かして、情報提供できる項目や内容を増やしていく予定とする。また、遺伝子検査サービスで提供する情報の質を高めることで、遺伝子事業の発展に貢献できるよう取り組んでいくとした。