新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が約10年間実施した「革新的新構造材料等研究開発プロジェクト」の推進機関だった「新構造材料技術研究組合(ISMA)」が、約10年間にわたる研究開発成果を解説する単行本(上下巻の分冊形式)を6月21日に出版した。ISMAの各研究開発者がそれぞれ担当した材料系などの研究開発成果を解説し、その理事長だった岸輝雄氏が監修を担当している。
この単行本のサブタイトルは「輸送用機器の軽量化のための材料・接合・設計技術」と表記されており、これから研究開発・製品化される自動車・二輪車や鉄道車両、飛行機などの輸送用機器の軽量化やその高性能化に貢献する鉄鋼材料、アルミニウムやマグネシウム、チタンなどの軽金属、炭素材料、炭素材料強化プラスチック(CFRP)などの各新材料について詳細にそれぞれ解説し、この新材料を適用するための構造設計、異種材料などの接着・異材接合、設計・適用した構造品の非破壊検査や信頼性評価法なども詳細に説明している。
上下巻の監修を担当したISMAの前理事長を務めた岸輝雄東京大学名誉教授は「上巻は、これから適用が増えると予想されている材料のマルチマテリアル化に向けて、研究開発者とこれを利用する設計者の初心者向けに基礎的な解説した上で、本研究開発プロジェクトで得られた研究開発成果を解説している」と解説するほか、「下巻は本プロジェクトの研究開発を担当した担当者が各研究開発成果を詳細に解説している」と述べており、“新材料”を活用するためのかなり多彩なデータ集になっていることを強調している。
なお、同単行本はオーム社より発行されており、上巻は定価6930円(本体6300円+税)、下巻は定価1万450円(本体9500円+税)となっている。
注:革新的新構造材料研究開発プロジェクトは2013年10月に経済産業省の未来開拓研究開発プロジェクトとして始まり、翌年2014年度からNEDOのプロジェクトに移管された。そして、この研究開発プロジェクトを推進してきた新構造材料技術研究組合(ISMA)は、2023年3月31日に解散している。