仏Yole Intelligenceが、パワーコンバータ(電力変換)用コンデンサの市場予測を発表した。
それによると、コンデンサは2022年のパワーコンバータの総コストの約10%を占めており、中でもフィルムコンデンサがもっとも高電力で使用され、かつ価格も高いタイプの製品となっている。
また、コンデンサの需要はxEV市場の成長にともない増加傾向にあり、コストも増加しているという。その結果、パワーコンバータ用コンデンサ市場は、2022年の49億ドルから2028年には70億ドルまで拡大。そのCAGR(年平均成長率)は5.9%と予測している。
xEV用コンデンサは、パワーコンデンサ市場におけるシェアを2022年の29%から2028年までに44%にまで拡大するとみられていることから、多くのコンデンサメーカーが事業を拡大し、自動車業界の現在および将来のニーズに注力することに意欲を示している。
パワーコンバータの受動部品のほとんどのイノベーションがコンデンサに寄るもので、例えばDCリンクアプリケーションでは、フィルム技術が引き続き主流であるが、コスト圧力が厳しい一部の市場では、電解コンデンサに戻ることが見られる。また、スナバ回路には、フィルムコンデンサやMLCCが一般的に使用されるほか、I/Oフィルタには、フィルムコンデンサやセラミックコンデンサが一般的に使用されているという。
そのため2022年の市場規模はフィルムコンデンサが最大で約39億ドルとする一方、主に低電圧から中電圧範囲で使用される電解コンデンサとMLCCは、それぞれ2022年から2028年のCAGRが5.7%と5.1%で成長すると予測されるという。
フィルムコンデンサや電解コンデンサ分野では村田製作所、ニチコン、TDKなど日本の大手メーカーが活躍している。
2028年に至るパワーコンバータ用コンデンサの技術ロードマップ
パワーコンバータ用コンデンサの重要課題や技術傾向としては、以下のようなものをあげている。
- xEVサブセグメントの市場シェアの増加に伴い、高出力密度、高電圧範囲、頻繁な熱サイクル下での信頼性、振動など、xEVアプリに関連する数多くの課題に対する適切な解決策を見つける必要が生じている。
- xEVアプリケーションなど、小型サイズのコンデンサに対するニーズが高まっている。
- 接合部および不利な動作環境の両方で高温に耐えることができるコンデンサに対するニーズが高まっている。
なお、Yole Intelligenceのパワーおよびワイヤレス部門のパワーエレクトロニクスチーム主任アナリストであるAna Villamor氏は、「xEV向けの革新的なシステムトレンドにより、より高温のDCリンクコンデンサの必要性が高まる可能性がある。PPやPETなどの誘電体フィルムは、エネルギー密度や高温耐性の向上など、コンデンサの特性を向上させている。したがって、xEVの特定の要件を満たすために、東レ、信越フィルム、富士フイルムなどの誘電体フィルムメーカーとコンデンサメーカーの協業が、コンデンサの特性を向上させる上で重要な役割を果たすだろう」と述べている。