ガートナージャパン(Gartner)は6月22日、国内企業のITリーダーを対象に2023年4月に実施した企業ネットワークに関する調査結果を発表した。SASE関連サービスの導入割合は約4割であることが明らかになった。
セキュリティ ・サービス・エッジ(SSE)やソフトウェア・デファインドWAN(SD-WAN)など、SASEに関連するテクノロジの導入動向について尋ねたところ、SASE関連の各種サービスを導入する企業の割合は、4割程度であることが明らかになった。
過去2~3年で急速な浸透を続けているSASEは、クラウド型のSWGが4割程度の導入、クラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカ (CASB) もそれに準ずる導入傾向にあり、また、国内外拠点でのSD-WANも3~4割程度の導入となっている。
Gartnerのバイス プレジデントアナリスト・池田武史氏は次のように述べている。「最新の調査結果は、2022年の同時期に実施した調査からわずかに増加となりました。急速に採用が進んだ2022年までと比較すると、いったん落ち着いた状況になっている可能性がありますが、今後、新たに、あるいは追加でSASEの各機能の導入を検討する企業は引き続き増えてくるとみられます。企業は、在宅勤務やパブリック・クラウドなど、インターネットを介して発生するトラフィックの増加をセキュアにオフローディングする必要がありますが、こうした課題に直面している企業は早急に自社での導入計画を立てることが肝要です」
一方、国内企業が採用している/採用予定のネットワーク関連テクノロジについても尋ねると、調査対象の半数以上の企業が無線LANやWAN回線、インターネット接続などを既に導入していると回答。そのうち今後も増強予定と回答した企業が2割程度であった。
企業はアフターコロナで、半導体不足やサプライチェーンの混乱およびインフレなどの影響を受け、機器の調達の遅れやコスト増に直面したほか、働き方の多様化に伴い、従来のオフィスでの無線LAN設備の規模縮小を検討するITリーダーも少なくない。そうした中、パブリッククラウドを使ったサービスの利用が増加し、あるいは、より高速で快適なネットワーク環境を求める従業員の声を反映し、国内企業がさまざまな拠点でのネットワークの増強に向けた取り組みを進めていることが明らかとなったという。
池田武史氏は、「企業ネットワークでは、オフィスや事業部門へのより高速な無線LANの導入、データセンター(DC)や工場のネットワークのトラフィックの負荷分散およびセキュリティの確保への取り組みが進んでいます。今後もトラフィックの増加や利用の多様化が進む可能性が高いため、まだ旧態依然としたネットワークのままとなっている企業は、そのアーキテクチャやテクノロジの選択を含めた、ネットワーク計画の見直しに着手することが重要です。特に、ネットワークの構築や運用に携わるリーダーには、単に機器や回線の状態を把握するだけではなく、トラフィックの振る舞い、すなわちユーザーが、快適かつセキュアにアプリケーションやサービスを利用できているかを把握し、対処することが、今後、より一層求められるようになります」と述べている。