NTTデータ経営研究所は6月21日、「男女のウェルビーイングな働き方に関する調査」の結果を発表した。これによると、コロナ禍を経てエンジョイ派が増加し、女性ではワーク重視派を逆転して最多の構成割合になったという。
同調査は同社が、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」の登録モニターのうち、20~60代の男女会社員・役員を対象として、1月26日~28日に非公開型インターネット・アンケートにより実施したものであり、有効回答者数は女性520人、男性521人の計1041人。
仕事や家族・友人、ボランティアなどの各項目について最も重視する活動を尋ねたところ、コロナ禍(新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大)以前は仕事に関する項目を重視する回答者(ワーク派)が、男女平均で約48%(女性42.3%、男性54.1%)と最多だったが、コロナ禍を経た現在、ワーク派は約41%(女性34.4%、男性47.5%)と減少し、家族・友人との時間や趣味といった私生活の楽しみを最も重視する回答者(エンジョイ派)が約44%(女性46.7%、男性41.5%)と最多になった。
今後重視したい活動では、エンジョイ派が増加し、ワーク派が減少する傾向が拡大しており、コロナ禍を経て働く男女がプライベートを重視した価値観へと移行していると同社は見る。
男女の価値観の差として、家事、育児、介護などを重視するライフ派はコロナ前・現在・今後の希望の全ての時期を通じて女性の方が多い傾向にある。しかし、男女差は縮小傾向にあり、コロナ以前は女性のライフ派は男性の3倍程度だったが、現状では2.3倍、今後の希望では2倍となった。
ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)な働き方の実現に役立つと考えられる各種制度の利用状況では、介護休暇・時短勤務・ステップアップにつながる研修の項目で3割以上の回答者が「利用したことはないが、利用したい」「利用したいが制度がない」と回答しており、希望と実態のギャップが大きい。
また、制度の利用意向がある回答者のうち、実際に利用経験がある回答者の割合を示した「実践指数」では、育休・産休制度で男女差が大きく、女性の実践指数が50%だったのに対して、男性は15%に留まっている。
制度も利用意向もあるにも関わらず利用したことが無い理由を聞くと、男性は全ての項目で「周囲で利用している人がいない」が最多だった。女性はハラスメント対策制度、生理休暇について「利用していることを知られたくない」と考える人が多い。
男女共に、制度の導入だけでは利用の拡大には障壁が残るため、利用しやすくするための運用上の配慮が重要だと同社は指摘する。
調査結果を受けて同社は、重視する活動や状況がそれぞれ異なる、働く女性に対して働きやすい職場環境を作るためには、それぞれに合った支援策の導入と、実際に各支援策の利用が広がるような工夫が重要だと提言している。