Sansanは6月21日、同社が提供するインボイス管理サービスである「Bill One」を通じて実施した、「経理の働きがい調査」の結果を発表した。これによると、経理の仕事に働きがいを感じている人は約6割に上る一方で、経理が担う理想の役割に「経営判断への貢献」が挙がっているにも関わらず、実際は請求書や立替経費に関する事務処理や入出金対応に多くの時間が取られているのが実態だという。
同調査は同社が5月10日~11日にかけて、経理業務に1年以上従事する全国のビジネスパーソン1000人を対象として、オンラインのアンケート形式で実施したもの。
働きがいを感じているかどうかを聞いたところ、「非常に働きがいを感じている」が6.6%、「まあまあ働きがいを感じている」が53.2%で、合わせて6割近くが働きがいを感じていると回答した。
働きがいを感じている理由では、「自分の裁量で仕事ができる」(40.8%)、「責任ある仕事を任せてもらえる」(31.6%)、「自分の強みを生かせている」(25.1%)が上位に並ぶ。
係長・主任・リーダー以上の役職者に経理が担う役割を尋ねると、理想の役割の上位には、経営判断に必要な情報・データの分析(38.3%)、経営判断のサポート(35.8%)、予実管理/コスト管理(35.2%)が挙がる。
しかし実際の役割では、入出金対応(52.7%)、請求書の事務処理(50.1%)、立替経費の事務処理(46.0%)を挙げる回答が多く、理想と実際にギャップがある。
経営判断に貢献したい意欲はあるものの、事務処理や入出金対応に多くの時間が取られてしまうことが弊害になっていると、同社は推測する。
現在の業務量を聞いたところ、「非常に多い」「やや多い」との合計は、年間を通してでは39.4%だったのに対して、月末・月初は45.3%、年次決算の時期は50.2%だった。
企業規模別で見ると、経理担当者が10人より多い大きな組織の方が負担を感じる人が多い傾向がある。
電子帳簿保存法の改正やインボイス制度への対応による業務の変化を尋ねたところ、「非常に増えた」「やや増えた」との回答が多かったのは、業務における心理的ストレス(45.2%)、業務量(36.7%)、業務難易度(36.7%)だった。法改正の影響で経理担当者の負担が増大していると、同社は見る。
日々の経理業務で「ストレスに感じることがある」と回答した753人に具体的な事柄を聞くと、「ミスが許されないプレッシャー」(27.9%)や「経理の大変さを理解してもらえない」(27.3%)が上位に並ぶ。その他、他部署社員の書類の提出遅れやミス、差し戻しを挙げる回答者も多い。
勤務先の規定でリモートワークが認められている401人に、2023年1月〜3月にリモートワークがどの程度できたか尋ねたところ、40.6%が「全くできていない」と回答した。
リモートワークができない理由では、「紙の書類対応が多い」(40.5%)、「毎月の締めや決算は出社しないとできない」(37.8%)、「郵送で届く請求書を受取・確認しなければいけない」(31.8%)など、経理ならではの理由が多く見られる。
調査結果を受け同社は、経理DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進で事務処理や書類業務を効率化し、経理部門により高度な経営支援を担う体制・環境を整備することも、経理担当者の働きがい向上に寄与するのではないかと指摘している。