豊田合成は6月20日、太陽光発電などに応用される電力変換装置の性能向上につながる新製品として、高性能な横型GaNパワー半導体をパウデックと共同で開発したことを発表した。

産業機器や電気自動車、家電などの電力制御において、パワー半導体の利用が広がっている。また現在では、社会全体でのカーボンニュートラル実現に向け、制御時の電力ロスを低減する次世代パワー半導体の実用化・普及が期待されている。

その方法の1つであるGaNパワー半導体は、高速での動作を特徴とするものの、より幅広い分野での応用に向けては、高電圧化(大電力化)が課題となっていた。

豊田合成とパウデックの両社は今回、共同開発を進めてきた独自設計のGaNパワー半導体を搭載したモジュール(駆動回路基板)を用い、800Vにおいて100万分の1秒でのオン・オフ動作を確認したとする。なお豊田合成は、800Vという高電圧と100万分の1秒という高速動作を両立した同モジュールの性能は、世界でもトップクラスだとしている。

  • 豊田合成とパウデックが共同開発したGaNパワー半導体と、それを搭載した駆動回路基板。

    豊田合成とパウデックが共同開発したGaNパワー半導体(左)と、それを搭載した駆動回路基板(右)。(出所:豊田合成)

同社は、高電圧と高速での動作を両立したパワー半導体の実証ができたことにより、太陽光発電での電力ロス低減などが期待できるとしており、今後は安定した連続動作と耐久品質の確保を行うことで、早期実用化を目指すとしている。

  • 豊田合成が今後目指す開発領域のイメージ。

    豊田合成が今後目指す開発領域のイメージ。(出所:豊田合成)