国内大手クラウドファンディングサイトとして知られる「Makuake」。しかし、運営元のマクアケは、自社サービスをクラウドファンディングではなく、新商品・新サービスのマーケットデビュー市場である「0次流通市場」に特化した新しいECのプラットフォームとして捉えているという。Makuakeは、規模を問わずさまざまな事業者が利用しており、10年間で3万件を超えるプロジェクトが実施されてきた。事業者にとってはテストマーケティングやPR、新規顧客獲得などといったさまざまなメリットがある。
5月15日~26日に開催された「TECH+ Business Conference 2023 ミライへ紡ぐ変革」の「Day 8 EC再考」で、マクアケ キュレーター本部 執行役員の松岡宏治氏が、同社の各地方拠点の立ち上げに携わってきた立場から、Makuakeの活用事例や事業へのインパクトについて紹介した。
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資金集めではなくPRの場としてクラウドファンディングを活用する
Makuakeは、サイバーエージェントの新規事業として2013年からスタートした。元々はクラウドファンディングという切り口でサービスを運営していたが、現在では、クラウドファンディングの仕組みを通じて受注生産を行うための応援購入サービスという捉え方をしているという。その理由について、松岡氏は次のように説明する。
「国内では、クラウドファンディング自体は2011年の東日本大震災をきっかけに広まったもので、当時は寄付を中心に資金集めを目的にしたものが主流となっていました。しかしクラウドファンディングの仕組みを活用すれば、プロジェクトの実行者が新商品・サービスを立ち上げる際に、試作品状態のプロダクトを一般消費者に予約してもらい、その資金で量産化につなげていくという流れをつくることができるのです。当社としては、量産前の新製品・サービスの受注生産、先行予約販売というところにフォーカスしていった経緯があります」(松岡氏)