英PwCが6月20日に発表した、世界46か国・地域を対象に実施した調査結果によると、従業員の26%が今後12か月間に転職する可能性が高いと回答しており、2022年の調査よりも上昇したことから、「大量離職時代」が継続しているという。
同調査は同社が2023年4月に、世界46か国・地域の5万3912人を対象として実施したもの。今後12か月間に転職する可能性が高いとの回答は、2022年の調査(19%)と比べて7ポイント増加した。
転職する可能性が高いと回答した従業員には、過労を感じている人々(44%)、月々の生活費をなんとか支払っている人々(38%)、Z世代(35%)などが含まれる。月末に手元にお金が残っているという回答者は全体の38%で、2022年調査の47%から減少した。
また現在、従業員の21%は複数の職に従事しており、うち69%は、副業の理由に追加収入が必要であることを挙げている。なお、複数の職に就いている従業員の割合は、Z世代(30%)やエスニック・マイノリティ(28%)での比率が高い。
経済的な圧迫は賃金への要求も高めており、給与の引上げを要求しようと考えている従業員の割合は、2022年の35%から42%に増加した。金銭的に余裕の無い従業員における比率は、46%に上る。
経済的に苦しんでいる人々は、新しいスキル習得の必要性やAI(人工知能)の台頭といった将来の課題への対応能力が低いという。新しいスキルの習得機会を積極的に模索しているとの回答は、生活費の支払いが滞りなくできる従業員では62%だが、なんとか支払っているまたは支払うことができない従業員では50%に留まっている。
また、AIが生産性を向上させるとの回答は、経済的に余裕のある従業員の57%に対して、そうでない従業員では45%に留まっている。さらに、経済的に余裕のある従業員の24%は、AIが新たな雇用機会を創出すると考えており(余裕に無い従業員では19%)、AIが自分たちの仕事を否定的な方向に変化させると考えている回答者も13%と、余裕に無い従業員の18%と比べて低い。
自分の仕事には専門的なトレーニングが必要であると回答した従業員の51%が、今後5年間で仕事に必要なスキルが大きく変化するだろうと考えているのに対し、専門的なトレーニングを受けていない従業員では15%に過ぎない。
競争の激しい労働市場において、雇用主は、採用や人材育成に対する旧態依然のアプローチを用い続けていることで、貴重な人材を逃していると同社は指摘する。
専門性の高いスキルを持つ従業員の35%は、適切な人材を知らずに仕事の機会を逃していることにある程度または強く同意しているという。一方で、従業員の35%が、履歴書や職歴からはわからないスキルを持っていると回答しており、企業が社内の人材を見落としている可能性を示唆していると同社は見る。
また世界中の従業員の52%が、今後5年間でAIがキャリアにプラスの影響を与えると予想しており、また31%が職場の生産性/効率を向上させると回答した。さらに、従業員の27%は、AIは新しいスキルを学ぶ機会と捉えている。
さらに、AIに対する意識に著しい世代間格差が見られた。若い世代は、調査した全ての領域においてAIはポジティブにせよネガティブにせよ、自らのキャリアに影響すると考えているという。AIが仕事に影響しないと考えている割合は、ベビーブーマー世代では34%だったのに対して、Z世代では14%、ミレニアル世代では17%に留まっている。