Micron Technologyは6月16日、中国・西安の後工程工場に43億元(約860億円)を投資し、中国顧客へのサービス強化に向けた新たなモバイルDRAM、NANDおよびSSD製品のアセンブリおよび最終検査ラインを構築することを発表した。
これは、中国のSNSである「微信(Weixin)」の同社中国法人である美光科技の公式アカウント上で最初に発表されたもので、現地での雇用創出などをアピールしたものとみられるが、その後、米国本社のWebサイト上のNewsroomにも中国語で同様の情報が掲載された。
中国当局は米Micron Technology製品が国家の安全に大きなリスクを与えるとして重要な情報インフラ施設の運営者は中国の「サイバーセキュリティー法」などの関連法規に基づき、Micron製品の調達禁止を発表した矢先、Micronは、6月16日、中国陝西省西安の後工程工場で43億元(約860億円)を投資し、中国顧客へのサービスを強化するため新たなモバイル DRAM、NAND、および SSD 製品のアッセンブリおよび最終検査ラインを構築すると発表した。同社は、中国で主流のSNSである「微信(Weixin)」のMicronの中国法人である美光科技の公式ページ(美光科技VIP倶楽部)上で中国語(簡字体)のみで発表して現地での雇用創出もアピールした。その後、騒ぎが大きくなり、Micronは今度は米国本社の投資家向け英語版ウェブサイトに中国語のみで発表するという事態となっている。
それらによるとMicronは、今回の投資により西安工場の従業員を現状の1200名に加え、500名ほど増員を行い、中国4拠点(北京、上海、深セン、西安)の従業員数を4500名に増やす計画だという。
Micron CEOのSanjay Mehrotra氏は、「Micronは、過去20年間にわたって中国で顧客と築いてきた深い関係を誇りに思っている。 我々は、さまざまな分野での顧客の革新と開発を引き続きサポートする。今回発表した投資は、中国とそのチームメンバーに対するMicronの揺るぎないコミットメントを示している」とコメントしている。
中国当局はMicronの製品に対し、国家の安全に大きなリスクを与えるとし、重要な情報インフラ施設の運営者は中国の「サイバーセキュリティー法」などの関連法規に基づき、同社製品の調達禁止を通達しているが、今回の同社の投資は、そうした中国当局の規制緩和を狙ったものであるとの見方を中国の半導体業界関係者はしているようである。
IntelもPat Gelsinger CEOが中国を訪問した際の行動内容について、中国内向けに中国語のみで発表していたが、米国ハイテク企業にとっての有望市場である中国へのアクセスを米国政府を刺激することなく、強めて行こうという動きと思われる。
なお、Micronはインドに半導体パッケージング工場の建設に向け、少なくとも10億ドルを投じる計画をまもなく発表する可能性があると米Bloombergが報じている。インドのモディ首相が今秋にも米国を訪問する予定で、その時点で正式発表があるかもしれないという。インドのハイテク業界関係者からは投資額は20億ドルに達する可能性もあるという声も出ているという。