NTTデータは6月16日、既存データセンターで活用可能なサーバー等のIT機器を液体の中で直接冷却する「ラック型液浸冷却システム」を、三菱重工業と構築したことを発表した。

  • 左:従来(タンク)型、中・右:ラック型

    左:従来(タンク)型、中・右:ラック型

同システムは、IT機器を特殊な絶縁性のある液体に浸して効率的な冷却を図る、一相式・非沸騰型の液浸冷却方式を採用。2023年3月〜5月に実施した三鷹データセンターEASTでの実機検証の結果、冷却にかかるエネルギーを自社ビル基準において最大92%削減したという。

液浸冷却では、一般的な「タンク型液浸冷却システム」での課題である運用性も173%向上することが確認されたという。さらに三菱重工製ドライクーラーと組み合わせる事で、消費電力を大幅に削減することができるとしている。

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導入性では、導入単位を19インチラック単位とすることで、一般的な既存データセンターの構築・運用と相違なく導入が可能。今回の実証では、CPU/GPU負荷100%の場合でも冷媒の運用温度が30℃から40℃付近を維持し、また、冷媒の運用温度をコントロールできるためIT性能の観点でも高い効果が得られ、かつ柔軟な搭載機器選定が可能になるという。

運用面では、IT機器をユニット単位で運用するため、ラック全体ではなくユニット単位で運用保守が可能。メンテナンス時に特別な装置を必要とせず、作業者のオペレーション工程が容易となり、従来の液浸装置と比べてもメンテナンス時間が大幅に短縮されたという。

積載は、同一ラック内に空冷システムと液浸冷却システムの両立運用が可能。さらに発熱性の高いサーバー機器(液浸対応)や低負荷のNW機器、ストレージ機器(液浸非対応)を同一ラックに収めた場合など、ラックユニット単位で異なる冷却システムをハイブリッドに活用できる。また、同一ラック内に1U機器に換算して最大22台程度、2U機器に換算して最大16台程度設置でき、ニーズに応じてユニット機器の組み合わせや積載数をカスタマイズ可能だという。

今回の検証結果をもとにNTTデータは、2023年度内の三菱重工製ラック型液浸冷却システムを活用した社内システムへの導入を目指す。来年度以降は同液浸冷却システムのサービス化・社外提案、さらに自社データセンター内での液浸専用マシン室の構築等を通じて、NTTグループが掲げる脱炭素の削減目標や顧客の脱炭素化・省エネ効果への貢献を目指すとしている。