TrendForceが2023年第1四半期の半導体ファウンドリの売上高ランキングトップ10を発表した。

それによると、上位10社合計の売上高は前四半期比18.6%減の273億300万ドルとなり、同社では最終製品市場の低迷と季節的要因が重なった結果としている。上位10社ともに売り上げを前四半期比でマイナス成長を記録している。

  • 2023年第1四半期のファウンドリ売上高ランキングトップ10

    2023年第1四半期のファウンドリ売上高ランキングトップ10 (出所:TrendForce)

低迷の主な要因は稼働率の低下

TrendForceによると、上位10社ともに同四半期は稼働率が低下したことが影響し、売り上げを落とすこととなったとしている。例えば売上高トップのTSMCは、ラップトップやスマートフォン(スマホ)などの主流アプリケーション需要の低迷により、7nmプロセス以下の稼働率と売り上げが低下した影響が大きいという。ただし、第2四半期はNVIDIAからのAI向けGPUの緊急注文により、売り上げの減少が一時的に緩和される可能性があるとしつつも、全体的には稼働率はそこまで上がらないとの見通しを示している。

2位のSamsung Electronicsは、ファウンドリのみの売り上げを公表していないため、非メモリ(システムLSI)部門全体の売上高(自社のスマホ向けなど内需半導体の売り上げも含む)となるが、8インチ/12インチウェハともに稼働率が低下しており、結果として、同四半期の売上高は同36.1%減の34億4600万ドルと上位10社中最大の下げ幅となった。また、第2四半期には特定コンポーネントの注文が散発的に入ってくるものの、本格的な需要回復の兆候ではないという点に注意する必要があるとTrendForceでは指摘している。ただし、新たな3nm GAA製品の投入が収益に寄与することが予想され、減少の幅は緩和される可能性があるともしている。

3位はGlobalFoundries(GF)で、第1四半期の売上高は同12.4%減の18億4100万ドル。FD-SOIなどの差別化技術を武器に、2022年後半より自動車や防衛、産業機器などの産業分野からの需要を下支えしており、前四半期3位だったUMCを抜き、3位に躍り出た。代わって4位に落ちたUMCの売上高は同17.6%減の17億8400万ドル。同社の先端プロセスとなる28/22nmおよび40nmプロセスの売り上げがどちらも前四半期比で20%以上のマイナスとなったことが大きいという。また、8インチファブの稼働率がPMICとMCUの注文減の影響から第2四半期には60%を下回ることが予想されている。ただし12インチファブについては、28/22nm採用のTV向けSoCなどで緊急注文が発生している模様で、80%程度となり、売り上げを下支えることが期待されるという。

5位はSMICで、同四半期の売上高は同9.8%減の14億6000万ドル。8インチラインの売上高が同30%近くの減少となったものの、12インチラインの売上高が中国内の顧客からの受注もあり同1~2%増となったと見られており、今後も中国内からの需要の恩恵を受けることが期待されるとしている。

6位以下での注目点は前四半期8位だったTower Semiconductorが、欧州市場からの需要に支えられた結果、7位に順位を上げた点である。

なお、TrendForceでは、第2四半期も上位10社の売上高はマイナス成長が続くと予想しているが、下半期のピークシーズンに向けた在庫の積み増しなども期待されるため、緩やかなものになることが期待されるとしている。