NTTデータは6月13日、全国エリアでの「法務省登記所備付地図データ」の配信サービスを提供開始した。これまで扱いが困難だった任意座標系データを、独自技術により公共座標系データと同様に位置の特定が可能なデータとして加工することで、地図上に重ね合わせ配信を実現した。
登記所地図は、登記所に備え付けている土地の区画を示すものであり、登記簿取得や地番・筆界確認のために利用される。土地の地番、形状、境界がわかることで、市民生活関連・公共サービス関連情報との連携や、都市計画・街作り、災害対応など、多様な分野における利活用への期待がある。
登記所地図の多くは、明治時代に作成した地図に準ずる図面(公図)のため、地図との重ね合わせが難しい、位置の特定が困難なデータ(任意座標系データ)とのこと。
現在公開している登記所地図は、土地の単位である筆の数で約1億7000万筆が任意座標系、約1億1000万筆が公共座標系だ。新サービスは、公共座標系・任意座標系を含む登記所地図を、全国の地図上に配信するもので、BizXaaS MaPにおいて展開し、未公開エリアの登記所地図データの提供や、土地形状を選択することで不動産登記を取得する機能などを提供するという。
その特徴として同社は、1)日本全国を網羅した地番地図データの整備、2)任意座標系エリアも地図上に重ねて利用可能、3)登記所地図を使用した登記簿取得・管理・利用が可能、4)土地に関わる情報をワンストップで収集可能の4点を挙げる。
地番地図データの整備に関して、同社によると全国網羅的なデータ整備は日本初といい、従来のコンテンツでは地番を調べることができなかったエリアも調査が可能になるとのこと。
任意座標系エリアに関しては、独自開発のAI(人工知能)による図形分析など先進技術を用いた整備手法を確立したという。
バラバラな区画の結合や歪みなどの補正を自動加工することで、膨大な量のデータ整備を実現し、全国の地図上に、登記所地図の情報を配信する。加えて、画面を切り替えることなくシームレスに利用できるサービス設計といい、土地活用を行う業務を支援するとしている。
登記簿取得・管理・活用に関しては、アプリケーションやAPIも用意。地番から登記簿を自動取得して文字解析し、土地や所有者などのデータを登記所地図に紐付けて管理できる。登記所地図と合わせて利用することで、登記関連業務の一体的な業務効率化・高度化を支援するという。
情報のワンストップ化については、同サービスは既に商用提供しているBizXaaS MaPをベースに構築しており、既存の地図コンテンツとの組み合わせにより、ユーザーがワンストップな情報収集が可能になるとしている。
対象となる土地区画に該当する建物名称、用途地域、ハザードマップ、地価といった土地取り扱いの際に使用する情報を合わせて収集できることで、調査業務の生産性や質の向上を実現するという。
同社は同サービスの提供を通じて、土地売買の活性化、都市計画の推進、空き家や所有者不明土地の確認による防犯性の向上、災害復興の迅速化など、土地に関する多くの社会課題解決に貢献するとしている。