ALEは6月9日、人工流れ星衛星3号機「ALE-3」のエンジニアリングモデルが2023年3月に完成したことを発表。新型機はこれまでの衛星と比べて大型化し、流星源の搭載粒数が大幅に増加したことを報告した。

また、この3号機を2024年後半に打ち上げ、2025年に世界初の人工流れ星の実現を目指すことも併せて発表した。

  • 人工流れ星衛星3号機(ALE-3)のエンジニアリングモデル。

    人工流れ星衛星3号機(ALE-3)のエンジニアリングモデル。(出所:ALE Webサイト)

人工流れ星とは、ALEが掲げる宇宙エンターテインメント事業「SKY CANVAS」のコンテンツで、世界各地の指定された場所で流すことができる人工流れ星を用いたエンターテインメントだ。人工流れ星は、地上から60km~80kmほどの中間圏で発光する(実施には該当機関などによる許認可が必要で、また人工衛星軌道により一部地域では実施できないこともあるという)。

それに加え、人工流れ星を使って、これまで観測が十分にできていなかった地球大気データを高頻度で取得することも計画されている。人工流れ星の輝く中間圏は、観測用気球には高度が高く、また人工衛星の軌道としては低すぎるため、人工物が滞留することが難しく、データの取得が難しいとされてきた。そこで、素材やスピードなどが明らかな人工流れ星を特殊なカメラや計測器で観測し、大気データを取得することで、それを基準にしてさまざまなデータを計測することが可能とする。これにより、気象予測精度の向上や、気候変動メカニズムの解明への貢献を目指すとしている。

今回エンジニアリングモデルが公開されたALE-3では、2号機で発生した不具合を踏まえ、人工流星放出機の設計全体を再確認し、信頼性を高めるための設計のアップデートを施したとする。加えて、各分野のエキスパートを増員して社内の開発体制を強化し、さらに質の高い設計・製造・検証を可能にしたとのことだ。また、初号機と2号機の打ち上げおよび軌道上運用で培われた知見が3号機に活かされており、より確実な開発が行われたという。

ALEによると今回、初号機や2号機と同様に、豊富な知見を有する東北大学との連携の上で開発が行われたという。なお、衛星や流星源は環境に配慮した設計がなされているとする。現時点での3号機のスペックは以下の通りだ。

3号機主要スペック(現時点)

  • 本体寸法:812mm×812mm×1300mm
  • 質量:200kg
  • 流星源の搭載粒数:1000粒(1000粒のうち商用利用するのは900粒)

同社は3号機の開発により、世界初の人工流れ星を実現し、新たな宇宙エンターテインメントを創り出すとともに、科学発展に貢献する研究を大きく前進させていくとしている。