安川電機は、6月6日から9日まで東京ビッグサイトで開催された世界最大級の食品製造総合展 「FOOMA JAPAN 2023」で、変種変量生産・不定形ワークに対応でき、食品ロス削減やサステナブルな良品製造を自動化できるさまざまなソリューションの展示を行った。
安川電機のコア技術を結集させた植物工場システム
多くの来場者の注目を集めていたのが、「アグリネ」という完全人工光型植物工場システムだ。これは、自社開発のコマ&レール方式による1株単位の野菜のハンドリングにより、播種・移植・定植・収穫の自動化を実現したものである。
従来、播種・移植・定植・収穫作業はすべて人の手によって行われてきた。しかし、アグリネを活用すれば、播種装置が栽培コマにゲル状の培地を充填し、種を1粒ずつ播種。そして、垂直搬送ロボットが栽培コマとスペーサを段移動させて株間調整し、収穫ロボットが野菜の根を1株ずつ切り離し、番重詰めを行ってくれるのだ。
すべてが自動化されることで省人化に貢献できるほか、成長すると葉と葉が重なり合う場面が必ずあり人間の手によって間引きが行われるが、1つ1つがコマとなってるため自動で株間調整も行われ、余分なスペースをとる必要もないという。また、栽培室内を無人化することにより、虫の混入リスクもなく、作業バラツキを抑制する効果もある。
実際に、高さ4m、長さ21mの自動化機械を8機導入、1日に3000株~3200株ほど生産している事例もあるとし、生産管理システムを組み合わせて使うことで工場内の生産状況・栽培環境・設備状況の見える化も可能となるとブース担当者は述べていた。
30kg可搬の人協動ロボットで原料工程を自動化
もう1つ注目したいのは、従来人に依存していた原料工程の自動化が可能な協働ロボットによる原料取出しシステムだ。
安全柵がいらなくなったことから、従来の産業用ロボットで必要だった広いスぺースがなくても設置可能であるほか、人の作業しやすい高さを考慮せずにスペースの活用が可能となる。また、最大30kgまで可搬できるため、あらゆる原料に対応することができるという。
また、食品仕様の協働ロボットは、食品工場に最適な高いサニタリー性を備えており、特殊な表面処理で塗装剥がれによる異物混入を防止。さらに、ちりやほこりが溜まりにくく洗浄しやすい形状を採用しているほか、指定洗浄液での洗浄が可能なため、厳しい衛生管理を必要とする食品分野に最適だとしていた。