MM総研(MMRI)は6月12日、日本および米国の企業・団体に所属する従業員を対象に実施した「日米企業におけるChatGPT利用動向調査」の結果を発表した。これによると、日本企業では49%が回答の精度を過大視しているという。
同調査は同社が5月24日~31日にかけて、日本と米国の企業・団体に所属する従業員を対象にWebアンケートにより実施したものであり、調査対象者数は日本1万3412人、米国402 人の計1万3814人。
ビジネスにおけるChatGPT利用率を見ると、日本では7%に留まっており、新しいテクノロジーなどを積極採用する初期採用層が利用している状態という。また「知らない」が46%と半数近くに上る他、知っていても「利用していない」が42%を占める。米国では利用率が51%と高く、「知らない」が9%に留まるなど認知度も高い。
日本での利用率が低く米国では高い傾向は、ChatGPTを始めとする言語系AI(人工知能)だけではなく、Stable DiffusionやDALL・Eなど画像系を含むその他の分野でも見られるといい、その要因の1つとして同社は、経営層の関心度合いの違いを挙げている。
日本でChatGPT利用率の高い属性を見ると、従業員規模では大手企業、役職では経営層や管理職の利用率が高い。業種別ではエネルギーや水といったインフラ系、学術研究、情報通信で、平均値よりも2~3ポイント高い一方で、卸・小売、自治体や中央官庁などの行政、不動産は低い。部門別では、人事が24%と平均よりも高くなっている。
ChatGPT利用者に具体的な用途を聞いたところ、日本では文章生成、要約、校正・構造化、情報検索の順に高い。米国では日本よりも用途が広いといい、「アイディア生成」などクリエイティブな作業や、GPT4を使用する「自然言語でのコーディング」の割合も高くなっている。
生成内容の満足度を尋ねると、10段階評価で概ね6~7点と評価し、また9割以上の利用者が「今後も利用継続したい」と回答している。利用を維持・拡大するための課題では、日米とも「回答の精度」が5割弱を占めた。満足度や利用継続意向は高いため、より高精度な回答を求めていると同社は推測する。
自社で使いやすさを見付ける先進企業も現れているが、現時点では個別の取り組みとなっているため、今後はより広いハブを構築し、業界や業務ごとにより良いプロンプトや利用事例を整理する必要も出てくると同社は指摘している。