新潟医療福祉大学(NUHW)は6月9日、静的ストレッチを30秒間だけ行い、続けて、「フォームローリング」を行う併用効果を検討したところ、30秒のストレッチで筋力の低下が認められたこと、そして短時間の静的ストレッチ後にフォームローリングを行うことで筋力低下が生じないことがわかったと発表した。
同成果は、NUHW 理学療法学科 バイオメカニクスLabの笠原一希大学院生(NUHW 運動機能医科学研究所)、同・村上優太大学院生(NUHW 運動機能医科学研究所)、NUHW 理学療法学科の吉田麗玖氏、同・小泉亮馬氏、同・佐藤成氏、西九州大学 リハビリテーション学部 リハビリテーション学科理学療法学専攻の中村雅俊准教授らの研究チームによるもの。
運動前のウォームアップとしてよく知られた静的ストレッチは、関節の可動域を増加させることが明らかにされている。しかし先行研究により、60秒以上の静的ストレッチは介入後に筋力が低下することが確認されていた。また研究チームはこれまでの研究で、静的ストレッチ後にフォームローリングを行う介入が効果的であることを報告している。
フォームローリングは、円柱状のフォームローラーを用いたマッサージのような手技で、近年ストレッチングに代わるとして注目を集めるウォームアップ方法だ。
そこで今回の研究では、筋力低下が生じないとされている短時間の静的ストレッチとフォームローリングの併用効果を検討したという。
調査の結果、30秒の静的ストレッチでも60秒の静的ストレッチと同様に、筋力の低下が認められたとする。しかし、短時間の静的ストレッチ後にフォームローリングを行うことで、筋力低下が生じないことが新たにわかったとする。このことは研究チームの先行研究と一致しており、これにより、運動前のウォームアップとして短時間の介入でも柔軟性の増加に有効であることが突き止められたという。
NUHWの笠原一希大学院生は、短時間の介入においてもフォームローリングの効果は十分に得られることから、時間に制限のある臨床現場やスポーツ現場での応用に向いているとしている。