NXP Semiconductorsの日本法人NXPジャパンは6月8日、5Gインフラストラクチャ用無線子局の薄型化と軽量化を実現する「Top-Side Coolingパッケージング技術」を採用したRFアンプ・モジュールファミリ「A5M34TG140-TC/A5M35TG140-TC/A5M36TG140-TC」の3製品を発表した。
携帯電話の基地局は作業容易性や周辺の環境美化などの観点から小型・軽量化が求められており、技術革新に伴って、サイズの小型化と重量の削減が進められてきた。5Gの基地局の大容量化を可能とするMassive MIMO(マッシブ・マイモ)技術についても、カーボンフットプリントの削減目的を中心に、1人でも作業可能な重量である23kg未満化や、材料削減による低コスト化、小型化による空気抵抗低減に伴う支柱などの軽量化や環境美化の推進といったことが求められており、RRU(Remote Radio Unit:リモート無線装置)とアンテナの主要コンポーネント(パッシブアンテナアレイ)などを統合したAAS(アクティブ・アンテナ・システム)でそうしたことを実現するためにも半導体の進化が求められていたという。
NXPでは、そうしたニーズに対応することを目的に、RFパワーアンプとしては新たなパッケージング技術となる「Top-Side Cooling」の適用を目指して開発を進めてきており、今回、自社開発のLDMOSとGaN on SiCパワー・アンプに同パッケージング技術を組み合わせることに成功したとする。
これにより、従来の無線ユニットでは表面にBottom-Side Coolingパッケージを採用したパワーアンプなどを配置し、裏面のプリント基板部に放熱のためのコインと呼ばれる金属面を用意。熱を伝播させるためのサーマルインタフェースマテリアル(TIM)を介し、ヒートシンクで放熱を行う下面冷却で、表面にはシールドを設置する必要性などもあったが、Top-Side Coolingでは、プリント基板の裏面にそのまま配置、それ以外の素子も裏面に一括配置することができるようになり、TIMは必要だが、ヒートシンクがシールドの役割も担えるようになることで、表面で必要とされたシールドをなくすことができるようになり、結果として無線ユニットの厚みと重量を20%以上削減することができるようになったという。
Top-Side Coolingパッケージ技術をRFパワーアンプに適用するために同社ではRFのシミュレーションを活用し、熱や電磁波などの放射を解決する手法として半導体のダイとパッケージの間にコインのように熱伝導性の高い金属を埋め込むことで課題を解決したほか、ダイと放熱面をつなぐための新たな素材探索を行ったとする。
なお、すでに3製品ともに量産を開始しており、評価ボードも入手可能だという。また、2023年夏にはアプリケーションノートを公開する予定で、利用にあたってのガイドラインなどがそこに記載される見通しだという。