自動車用電動パワートレイン制御装置など電装品サプライヤである独Vitesco Technologiesとonsemiは、onsemiがVitescoに19億ドル相当のSiCデバイスを10年にわたって供給する契約を締結したこと、ならびにVitescoがonsemiのSiCデバイスの増産に向けたSiCブール成長装置、ウェハ製造装置、エピタキシャル成長装置などの購入に向け、2億5000万ドルを投資することも決定したことを発表した。

加えて、今回の提携では、onsemiがVitesco向けに最適化された顧客ソリューションを提供する契約も締結。これによりonsemiのEliteSiC MOSFETが、Vitescoの現状の電動パワートレイン向けだけでなく、トラクションインバーターや電気自動車ドライブなどといった将来のプロジェクトにも適用されることになるという。

SiCパワー半導体は、将来の電気自動車(EV)の充電時間短縮や航続距離延長などを可能にする技術として期待されており、世界中の自動車メーカーが活用に向けた取り組みを進めるなど、供給不足が懸念されており、SiCパワーデバイスメーカー自体のSiCウェハ確保、自動車電装部品メーカーのSiCデバイス確保など、長期安定供給を実現することに向けた投資が各所で進められるようになっている。

onsemiの社長兼CEOであるHassane El-Khoury氏は「今回の提携により、VitescoはEVの航続距離の延長と高性能化に対する自動車メーカーなどからの要求に応えることができるようになる。onsemiは、自動車の大量生産に向けたパワー半導体の製造における長年の経験を有しており、優れた性能と品質、供給保証、および大規模なSiC製品の製造を行う体制が整っている」と述べている。また、VitescoのCEOであるAndreas Wolf氏も、「エネルギー効率の高いSiCの需要が高まり始めている。そのため、onsemiとの協力は、SiCバリューチェーンにアクセスするために必要不可欠なことであった。今回の投資により、今後10年間、そしてそれ以降も重要なテクノロジーを確実に顧客に供給できるようになる」と述べている。