日本電信電話(以下、NTT)は6月1日、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想下のAPN(All Photonics Network)を活用した映像配信の実現に向けて、エンド・ツー・エンド光映像配信技術の基本機能を実証したことを報告した。
同社のエンド・ツー・エンド光映像配信アーキテクチャは、APN上のCPUやGPU、メモリといったリソースを映像処理リソースとして利用するという。このリソースは光電融合デバイスによって相互に光波長で接続されており、映像FDN(Function Dedicated Network)コントローラによって、必要な映像処理の規模や内容に応じてリソースの割り当てやリソース間の接続が制御される。
これらのリソースはAPN装置(APN-G)と光パスで接続され、映像素材の入力からプレイヤーまでの出力がエンド・ツー・エンドの光パスで結ばれるという。そのため、映像データの通信やリソース間の接続を光通信化し、従来の電気処理を介する映像配信システムと比較して超低遅延かつ広帯域、低消費電力化を実現する。
さらに、映像FDNコントローラがサービス事業者の番組編成システムなどと連携し、映像配信の要求に応じてオンデマンドにネットワークリソースや映像処理リソースを提供する。同社はAPNを活用したエンド・ツー・エンド光映像配信アーキテクチャによって、多地点をオンデマンドに結ぶ低遅延なライブ配信の実現を目指す。
「ネットワーク内映像処理技術」と「番組編成に応じた動的素材伝送パス切替技術」が、今回のアーキテクチャの基本機能における要素技術のようだ。ネットワーク内映像処理技術とは、APN上に配備されたプログラマブル光映像スイッチ内にあり、映像ブロック単位での処理により、ネットワーク上での映像加工や編集を可能にしている。
同技術では、一般的なスイッチャーなどの映像用装置を用いずにネットワーク装置上で映像の切り替えや合成といった映像処理が実行できるため、映像データを映像信号やファイル形式に変換せずにそのまま映像処理できるようになり、低遅延の映像編集が可能となる。
一方、番組編成に応じた動的素材伝送パス切替技術は、サービス事業者からの編成情報をもとに必要な映像処理の内容と連携してオンデマンドにネットワークのパスと経路の制御、リソース割り当てを行うことで、ネットワークリソースの利用を効率化する。これにより、多地点間の映像伝送を動的に制御し、さまざまな映像を低遅延かつシームレスにつなぐ映像配信を実現するとしている。