日立エナジーは5月31日、サウジアラビア北西部に建設中の大型スマートシティ「NEOM(ネオム)」におけるエネルギー・水事業者ENOWA(エノワ)のエンジニアリング、調達、建設管理パートナーであるSaudi Electricity Company(サウジアラビア電力公社)から、HVDCプロジェクト向けに3GW、525kVの自励式 HVDC変換所2基を受注したと発表した。また、エノワと、今後建設が予定される2つのHVDCプロジェクト向け変換所の製造・プロジェクト推進に必要なリソースを両社が確保する契約を締結したこともあわせて発表した。
HVDCプロジェクトは、ネオムに建設される工業都市Oxagon(オキサゴン)と約650km離れたサウジアラビア西部の都市Yanbu(ヤンブー)を繋ぐもので、オキサゴンの建設で必要とされる大量の電力をヤンブーから供給することが主な目的だという。
日立エナジーは、サウジアラビアのEPC事業者であるSaudiServices for Electro Mechanical Works(サウジ・サービス・フォー・イレクトロ・メカニック・ワークス)と共に自励式 HVDC変換所2基を提供する。日立エナジーは自励式 HVDC システム「HVDC LightR」を用いたHVDC変換所の設計、エンジニアリング、調達、試運転を担当し、サウジ・サービス・フォー・イレクトロ・メカニック・ワークスは、建設、据付、ならびに交流設備の設計、供給を行う。
日立エナジーとエノワがリソースを確保する2つのHVDCプロジェクトは、それぞれ3GWの容量をもち、将来的に再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵技術をシームレスに統合した、新しくスケーラブルでモジュール式のネオムの電力網の一部となるものだという。両社は、HVDC Lightの主要コンポーネントの現地での組立てを含む、サウジアラビアのさらなる能力開発の機会についても検討する構えだ。
日立エナジーのグリッドインテグレーションビジネスユニット担当役員であるニクラス・パーソン氏は、次のように述べている。「最も先進的な開発プロジェクトの一つを推進するために、エノワ、ならびにサウジアラビア電力公社との協力関係を強化できることを嬉しく思います。世界がより持続可能な未来に向かって前進するなか、当社の専門知識とHVDC技術は、世界のエネルギーシステムの電化と再生可能エネルギーへの移行を実現します。」
エノワのエネルギー・グリッドテクノロジー&プロジェクト エグゼクティブディレクターであるトーステン・シュヴァルツ氏は、「HVDC技術を使用することを決定してからわずか1年で、将来の送電網の重要な部分となるプロジェクトの製造・プロジェクト推進体制を確保することは、サウジアラビア電力公社および日立エナジーと協力して、「サウジ・ビジョン 2030」をサポートするという当社のコミットメントを示しています。」と述べている。