2023年第1四半期の半導体企業売上高ランキングをSemiconductor Intelligence(SI)が発表した。上位15社の多くが売上高を低迷させており、中でもメモリ大手3社は価格下落の影響を大きく受ける結果となっている。プラス成長を遂げたのはQualcomm、NVIDIA、Infineon、Analog Devices(ADI)の4社のみ(NVIDIAの数値は決算発表前のガイダンスの値。決算発表での数値は同19%増)となっている。
メモリ不況でSamsungが首位陥落
Intelも売り上げを減少させたが、それ以上にトップだったSamsungが同32%減と大きく売り上げを落とした結果、Intelが首位に返り咲いた。3位のBroadcom、4位のQualcommに順位は変動はない。5位には前四半期6位のNVIDIAが、6位には同7位のAMDが、7位には同10位のInfineonがそれぞれランクアップを果たした。8位のTI、9位のSTMicroelectronicsに順位の変動はなし。前四半期で5位だったSK hynixは売上高を前四半期比34%減とトップ15社中最大の下げ幅を記録し10位へと後退した。11位のMicronは順位に変動なし。12位には前四半期14位のADIがランクアップした一方、前回12位だったMediaTekが13位に転落。ADIのランクアップに伴い、同13位だったNXPも14位に後退した。また、前回15位のキオクシアが同26%減と大きく売り上げを落とした結果、代わって15位にルネサス エレクトロニクスがランクインする結果となった。
2023年第2四半期もNVIDIA以外は低迷の見通し
上位15社の2023年第2四半期の売上高成長率を各社のガイダンスから見てみると、ガイダンスを発表している11社のうち5社は増加を見込んでいるが、その伸び率は低く最大でもNXPの2.5%増に留まる。ただし、NVIDIAはこの調査時点ではガイダンスが発表されていなかったものの、決算発表時に前四半期比53%増という値を発表し、好調さをアピールしている。最終製品の需要減退と在庫調整の継続が多くの半導体企業に慎重な見通しを示す要因となっていると見られているが、自動車関連は好調で、各社の車載ビジネスについてはプラス成長が期待されているという。
なお、2023年4月以降に主要市場調査会社各社から発表された通年の市場規模予測は英Future Horizonsの前年比20%減からGartnerの同11.2%減まで幅が広い。SIでは最新の予測として同15%減としている。2022年末時点での各社の予測は前年比1桁台のマイナス成長が主流であったことを鑑みると、すべての市場調査会社が下方修正を行ったことになる。
SIでは、2023年第1四半期の低迷と第2四半期の見通しを考慮すると、通年の2桁マイナス成長はほぼ確実だと見ているが、生成AIの需要高騰によるNVIDIAの好業績が、メモリメーカーなど他社にも影響を及ぼすならば、下期の回復につながる可能性があるともしている。