ソフトバンクと慶應義塾大学SFC研究所が設立した「デジタルツイン・キャンパス ラボ」は5月31日、デジタルツインを活用した自動運転バスの運行の高度化に向けた実証実験を、5月から慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)で開始したことを発表した。
実証実験では、「デジタルツイン・キャンパス ラボ」が開発したデジタルツインプラットフォーム(以下、DTCLプラットフォーム)上で、建物の屋上に設置したセンサーの情報や信号機の灯火予測情報などを再現し、SFC研究所が神奈川中央交通株式会社と共同で研究し運行している自動運転バスの走行システムにその情報を提供する。
自動運転バスの運行において、車両に設置したセンサーやカメラだけでは検知できる範囲に限界があることから、屋外に設置したセンサーの情報などをDTCLプラットフォーム上で再現し、それらの情報を自動運転バスに共有。SFC内の右折ポイントにおいて対向直進車の情報を、DTCLプラットフォームからリアルタイムに取得できるようにした。
従来は運転士が目視で確認して手動で右折していたが、DTCLプラットフォームから情報を取得することで、対向直進車がいなければ自動で右折するような運行へと高度化することが可能になるという。
また、車両に設置したカメラで信号機の灯火情報を検知する場合、逆光などが原因でうまく検知できないなどの課題があるため、今回、SFC周辺の信号機の灯火情報について、信号機を映した固定カメラの映像などを基にAIによる推定を行い、DTCLプラットフォームから取得できるようにした。また、過去の灯火情報に基づいて信号がどれくらいの時間で変わりそうかも予測するという。
自動運転バスの運行時間は、春/秋学期中の平日午前10時30分~午後6時30分。運行区間は、SFC内看護医療学部発着の循環線片道約2.2km(公道0.9km、大学構内1.3km)。
なお、今回の実証実験は「デジタルツイン・キャンパス ラボ」が2022年10月から取り組んでいる、物理空間と仮想空間の相互連携による問題発見や課題解決、自己位置推定技術などの研究開発の一環で行うものだという。