Sansanは5月30日、同社が手掛ける請求書管理サービス「Bill One」のオプションサービスとして、法人カード「Bill Oneビジネスカード」を6月1日より提供開始すると発表した。
バーチャルカードとリアルカードの2種類が用意されており、Bill Oneを契約しているユーザーは、カードの発行手数料、利用手数料なしで利用することが可能。法人カードのアナログ業務を効率化する機能が特徴で、カード支払いにおけるインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応する。スマートニュースや、クックパッドといった200社がすでに導入を決定しているという。
代表取締役社長 CEOの寺田親弘氏は記者会見で、「近年、法人カードの利用は増えてきているが、依然としてアナログな経理業務は残っている。月次決算のスピードを加速するには、経理業務の効率化を進め、複雑化する法改正に対応していかなければならない」と警鐘を鳴らした。
Bill Oneは、郵送やメール、紙やデータといったあらゆる方法・形式で届く請求書をオンラインで受領し、99.9%の精度でデータ化するサービス。
2020年5月のリリースから3年間で、ARR(年間経常収益)は27億円、導入社数は1300社を突破した。ARRが毎年3倍、3倍、2倍、2倍、2倍と5年かけて年間売上を72倍とする、理想的な成長モデル「T2D3」を超える勢いの成長をみせている。「SaaSビジネスに長年携わってきた身からしても、この成長スピードはまさに驚異的だ」(寺田氏)
一方で、寺田氏は「法人カードの領域は、これまでカバーしきれていなかった。法人カードは、まだまだ改善の余地があるはずだ」と指摘。
実際に、法人カードの管理業務に携わる1000名のビジネスパーソンを対象に実施した同社の調査によると、45.5%が「ここ数年で法人カードでの決済機会が増えた」と回答した一方で、51.8%が「利用明細との照合に時間を要している」、34.8%が「証憑の回収に時間を要している」と、法人カード利用の課題を挙げている。
今回、Sansanが提供を開始する法人カードは、カードの利用明細と証憑の自動照合が可能。Bill Oneにアップロードされた証憑は翌営業日中にデータ化。利用明細の金額と合致しない場合はアラートが表示されるため、これまで経理担当者が目視で行っていた照合作業が効率化される。
「まさにこの作業はアナログ。当社の調査によると、経理担当者は証憑の回収や利用明細との照合作業に毎月平均4.7日の時間を要している」と、Bill One Unit ゼネラルマネジャーの大西勝也氏は補足した。
また同カードは、2023年10月のインボイス制度開始までに、カード利用後に受け取った証憑が適格請求書かを確認できる機能を実装する予定。また、カード利用後に提出された証憑は電子帳簿保存法の要件を満たした形で保存される。
さらに、不正利用リスクに対応する機能も備わっている。利用するカードごとに、利用上限額や利用可能期間を設定することができ、「ギャンブル」といった特定のジャンルの利用先の排除を行うことも可能。加えて、発行したすべてのカードの利用状況はリアルタイムでBill One上に連携されるため、不正利用のリスク低減につながるとしている。
すでに200社がBill Oneビジネスカードの導入を決めており、当初の決済金額は月間6億円を見込む。1年後には月額50億円、年間600億円を目指す。Bill One事業全体としては、2024年5月期末、60億円以上のARRを目指すとのことだ。