富士通とマイクロソフトは5月29日、デジタルイノベーションによる持続可能な社会の実現を目的として、顧客企業のSX(サステナビリティトランスフォーメーション)を推進するクラウドソリューションの開発および提供に向けた5年間の戦略的なグローバルパートナーシップを締結したことを発表した。
両社はこのパートナーシップによって、社会課題解決に向けたグローバルソリューションである富士通の「Fujitsu Uvance」を拡大し、2025年度における同ソリューションの年間売上7000億円の達成に向けてビジネスを成長させる。
マイクロソフトが持つクラウドを始めとする先進的なテクノロジーと、富士通のコンピューティングやネットワークなどのテクノロジー、およびさまざまな業種における知見を融合させ、製造、流通、ヘルスケア、公共分野などでのFujitsu Uvanceのソリューションを共同で開発し提供するという。
今回のパートナーシップにおいて、マイクロソフトは富士通のプレミアクラウドパートナーとして、「Microsoft Azure」「Microsoft 365」「Microsoft Dynamics 365」「Microsoft Power Platform」「Viva」などのクラウドの技術やサービス、ノウハウを富士通に提供する。富士通はFujitsu Uvanceで注力する領域のうち、特に「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy Living」「Trusted Society」の4つの領域で具体的な取り組みを進めるとしている。
Sustainable Manufacturingの分野では、自然災害や地政学的リスク、パンデミック、原材料価格の変動といった環境の変化に対し、「Microsoft Cloud for Sustainability」を使用して製造業者が柔軟に対応し、堅牢かつ迅速に復旧可能なサプライチェーンの構築を支援するリスク可視化ソリューションを共同で開発する。
Consumer Experience分野においては、増加する消費者の需要に対応できるスマートリテイルソリューションを開発し、流通分野での事業運営を支援するという。また、食品ロスを防止する効率的なショッピングや、消費者のサステナブルな志向の高まりに対応するソリューションなども手掛けるとのことだ。
Healthy Living分野では、マイクロソフトのクラウド技術により医療機関などが患者のデータを保護し、医療の質を向上させ、運営を最適化できるようなソリューションで支援する。両社は病院の電子カルテと患者データを連携させ、患者の医療の質を向上させるクラウドベースのプラットフォームや、さまざまな規模の医療機関の運用を最適化することで医療従事者の負担軽減を図るAI技術の開発などを行う。
Trusted Societyの分野では、物流危機や地政学的リスク、天候や自然災害、パンデミックなどの世界的なサプライチェーン危機に対し、サステナブルでレジリエントなソリューション開発を進める。製品の調達と輸送を追跡し、より詳細な需要予測を提供するとともに、二酸化炭素排出量の可視化などのサステナビリティに関する目標達成を支援するソリューションを目指す。