トレジャーデータは5月24日、同社が提供するCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「Treasure Data CDP」において、顧客データを活用した意思決定機能群の拡充を発表した。
機械学習の自動化を実現する「AutoML」を追加
新たに追加され機能は、機械学習の自動化を実現する「AutoML(オートエムエル)」。これは、探索的データ解析(機械学習の最初の段階で、データの特徴を把握する工程)や前処理、モデリング、検証・解析など、これまで専門知識が必要だった機械学習の工程を自動化するものだ。
GUIと多数のノートブック(実装済みソリューション)という特徴があり、機械学習の業務プロセスを高速化できるという。
また、意思決定機能群に関しては、オムニチャネルで一貫した顧客体験を設計するためのオーケストレーション機能「Treasure Data Journey Orchestration(トレジャーデータジャーニーオーケストレーション)」の拡張も発表した。
これは、広告、メール、SNSに限らず、さまざまなチャンネルでの情報を加味をして、広告配信する機能。一つのキャンパス(画面)上で、実際のデータを活用して、いろいろな分岐設定を、簡単に行えるものだ。
米トレジャーデータ 最高経営責任者(CEO)兼 共同創業者 太田 一樹氏は意思決定機能について、次のように述べた。
「データを使って最終的にどのコンテンツを配信するのかが、顧客体験、マーケティングの肝。トレジャーデータは今までデータの部分をやってきたが、データを持っているならば、そのデータを使って最適なコンテンツを出すという意思決定を一番うまくできると気づいた。そのため、意思決定に関する新機能を発表した」
データブリックス・ジャパンとの協業も発表
また同日、データブリックス・ジャパンとの協業を開始したことも発表された。
トレジャーデータはこれまでざまざまなコネクタを提供し、他社製品と「Treasure Data CDP」との連携を行っているが、データブリックスとの提携もその一環。今回の提携により、データブリックスの「レイクハウス・プラットフォーム」と、「Treasure Data CDP」とのデータ連携が可能になっている。
トレジャーデータが注力するデータクリーンルームの有力市場
トレジャーデータ 社長執行役員 三浦喬氏は、データクリーンルーム戦略についても触れた。
同社とヤフーは4月17日、「ヤフーのデータを利活用したデータクリーンルーム「Yahoo! Data Xross(ヤフー・データ・クロス)」を提供開始すると発表した。
このサービスは、ヤフーのアクティブユーザー5,000万人の購買意向や興味関心などのデータと、「Treasure Data CDP」内に格納されたデジタル広告やメール配信、アプリプッシュ通知の履歴などの顧客データを掛け合わせることによって、分析、統計レポート、広告配信までつなげることができるもの。
データクリーンルームは、多くの1st Partyデータを持っているGoogle、Amazon、Facebook(メタ)、LINEなどのプラットフォーマーが、安心かつ安全な形で自社のデータを企業に開放するための環境。3rd Party Cookieの規制により、注目されている。
三浦氏によれば、このサービスの有力市場の一つは金融・保険業だという。結婚や子供が生まれたといったライフイベントが発生し、購入意欲が高そうな顧客に対して、住宅ローンの金利優遇のようなキャンペーン広告をスコアリングが高い順序で配信していくといったことができるという。
また、リテールメディアの顧客データを活用したマネタイゼーション、複数ブランドた複数サービスを保有している企業(例えば車業界など)での、ブランドサービスをまたいだ個客理解およびアクティベーション最適化なども有力な市場だという。
「このテクノロジーを使って、他のビジネスへの展開ができないかと思っている。まだ4月にローンチしたばかりだが、非常に多くのポジティブな反応をいただいており、すでに発注をいただいているところもある」(三浦氏)と、好反応である点をアピールした。
同社はZホールディングスのLINEとの業務提携も昨年発表しており、今後は、LINEデータとの連携も考えられている。
会見の中で太田氏は、データクリーンルームが同社の今後の主力製品になっていくという認識を示した。