東北大学は5月23日、三井住友信託銀行との共同出資によって、技術と人材と資金をインテグレートする共同出資会社「東北大学共創イニシアティブ」を設立したことを公表した。
この共同出資会社は、東北大などの大学発の技術シーズを基に、その技術開発や実用化・事業化を進めるのと同時に、その事業化を進める人材育成も図っていくことに加え、その事業化に必要な投資資金を集めるイノベーション推進を担当する子会社として機能させる計画だ。
設立場所は宮城県仙台市、設立日は2023年4月28日で、代表取締役社長には石川健氏が就任したという。
東北大は「こうした3つの機能を融合させたインキュベーション子会社を民間企業と設立することは国立大学として初めてのケースだ」と説明する。
今回の東北大と三井住友信託銀行との共同出資会社の設立は、2022年2月3日に東北大と三井住友信託銀行の親会社である三井住友トラスト・ホールディングスが「技術と資金のインテグレーター事業の協同」を目指す包括連携協定を結び、その具体化を目指して具体的な事業を図ってきた成果になる。東北大は「大学発の研究を技術開発・事業化を図る」ことによって、イノベーション創出を通して社会課題の解決を図り、社会貢献を果たすという貢献を果たすことを目指す」という。
一方の三井住友信託銀行は、この子会社を通して、民間企業が抱えている課題を、大学の研究開発成果の事業化によって解決することを目指す。この起業による事業化案件の成長性を有望案件とみなす投資家から、その投資ファンドを集めて、成長させる事業資金とする事業を担当する。
東北大は青葉山キャンパスに隣接する地区に青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)を設け、ここに企業との産学連携を進める共同開発・共同の事業化・インキュベーション地区を設けており、ここを新規事業化に活用する事業プランを描いている。
なお、今回設立された東北大学共創イニシアティブの出資金は1億円で、その内訳は資本金が5000万円、資本準備金5000万円となっており、その出資者は東北大が85.1%、三井住友信託銀行が14.9%という比率になっている。また、同社の事業内容は「技術と人財と資金をインテグレートする共創プラットフォーム事業を展開 企業の大学活用による事業開発や人財育成など支援コンサルティング」と公表している。