図研は5月23日、エレキとメカを融合したプリント基板設計向けEMC(Electromagnetic Compatibility)検証ツール「3D EMC Adviser」の販売を開始したことを発表した。

電子機器におけるEMCの対策としては、ノイズ源となる電子部品や回路を実装するプリント基板のみならず、筐体や複数の基板同士をつなぐハーネスや通信ラインなどを含め、さまざまなノイズの伝搬経路や影響を考慮する必要があるが、一般的な電子機器の開発シーンでは、設計段階にてプリント基板のEMC検証を行うほか、実際に組み立てられた試作機を用いたEMC試験でもノイズの有無などの確認が行われ、仕様を超すノイズの発生などとのような問題が確認された場合、基板やメカの設計見直しが必要となる手戻りが発生し、製品化までのスケジュールが遅延するといった問題が生じることが課題となっていた。

今回、同社が販売を開始した3D EMC Adviserは、プリント基板の設計中にメカデータを取り込み、同社の基板設計CAD「CR-8000 Design Force」の3D空間上で「エレキとメカ」、「基板と基板」など複数のオブジェクトを、製品における位置関係を考慮し一体化してEMC検証を行うことを可能としたものだという。これにより、設計プロセスの途上でEMC問題の原因となる要因を回避することが可能となり、実機検証後の設計変更をできる限り減らすことができるようになると同社では説明している。

また、市場からの要望が高かった「基板シールディング」と「イントラノイズ干渉」の2つの新しい検証機能を先行して搭載しているが、今後、新たな検証機能を順次拡充していく計画ともしている。

なお、同社では2023年5月31日より東京ビッグサイトで開催される電子機器トータルソリューション展「JPCA Show 2023」にて、同製品の紹介などを行う予定としている。

  • 3D EMC Adviserの適用イメージ
  • 3D EMC Adviserの適用イメージ
  • 3D EMC Adviserの適用イメージ (提供:図研)