Rapidusの小池淳義 代表取締役社長は5月22日、北海道千歳市で開催された同地での工場建設などに向けた住民説明会「北海道における次世代半導体プロジェクト説明会及び工事計画等説明会」に登壇。RapidusはIDMでも水平分業でもない、第3の半導体ビジネスモデルを掲げていくことを明らかにした。

小池氏は、官民あらゆる分野で先端プロセスを活用した高性能、低消費電力な半導体が重要であると指摘。2nmはそうしたニーズに対応できるプロセスであるとする一方で、目的に応じた半導体チップの開発には半導体設計、設計後のテープアウトからのファブでの前工程、そしてパッケージに封止する後工程、それぞれの技術習熟が必要であり、製品化までの時間とコストが必要なうえ、設計にミスがあった場合、再度、長い期間とコストをかけて前工程を行う必要がある。

そうした状況に対し、Rapidusでは、新たなビジネスモデルとして、設計支援、前工程、後工程をどこよりも早く提供する「RUMS(ラムス)」を提言するという。半導体業界は従来、IDMもしくはファブレス・ファウンドリ・OSATによる水平分業で半導体業界は構成されてきたが、RUMSはそのファブレス・ファウンドリ・OSATのそれぞれの間に立ちはだかる壁を取り払い、設計・前工程・後工程を組み合わせることで、設計からチップとして商流に流れるまでのスピードの向上、開発効率の向上、コスト低減を実現しようというもので、RUMSはRapid & Unified Manufacturing Serviceの頭文字をとった名称だという。「迅速に、総合的に提供する新しい製造の形態」であり、「ファブレスなどのチップ設計メーカーと一緒になって展開していくことで、RUMSのサイクルタイムを短くしていく」と小池氏は説明する。

また、再生可能エネルギーによるゼロカーボン化や完全自動操業・無灯火、究極のリサイクル・廃棄物削減を可能とするグリーンファブの実現に向けた研究も推進していくとしており、ファブではなく「IIM(Innovative Integration for Manufacturing:イーム)」という名称を使うとし、パイロットラインの第1棟目となる「IIM-1」は2023年9月1日に起工式を執り行う予定であるとする。新千歳空港にほど近い工業団地「千歳美々ワールド」を建設地とし、すでに施工者としては鹿島建設が選定済みとなっている。

なお、製造設備の搬入は2024年12月より実施する予定としているほか、実際のライン稼働としては2025年度第1四半期、4月から開始したいとしている。