米data.aiの日本法人App Annie Japanは5月18日、事業戦略説明会を開催した。今年2月より日本事業責任者に就任した鳥井武志氏が、日本市場における事業戦略を説明した。

  • data.ai(App Annie Japan)日本事業責任者 鳥井武志氏

同社はモバイルアプリの市場データと分析プラットフォームを提供している。鳥井氏は、同社の強みとして、100万以上のアプリを分析していること、8万4000以上のコネクションを提供していることを挙げた。

米data.aiは2022年2月に社名をApp Annieから変更したが、日本はまだ登記が完了していない。鳥井氏は、社名を変更した経緯について、「Appという言葉はモバイルアプリの印象が強い。これからは、ストリーミングデータ、リテイルのデータなど、AIを駆使して、さまざまなデータを統合して提供していくことを目指す。その想いから、data.aiという新たな社名となった」と語った。

  • data.aiの社名変更に込められた事業の方向性

鳥井氏は、同社の顧客がモバイル市場データを活用しているパターンとして、以下の5点を挙げた。

  • 自社アプリの戦略立案・運用改善
  • 新規事業・サービスの企画立案・実行
  • 営業企画・パートナーシップ
  • 海外展開 / Inbound関連の企画立案・実行
  • 経営企画・中期経営計画

次に、鳥井氏は2022年度のモバイル市場の動向について説明した。まず、生活者が1日当たりにモバイルに費やす時間が初めて5時間を突破したという。あわせて、アプリのダウンロード数も前年比成長率11%増と好調を維持しているが、アプリの消費者支出は前年比成長率2%減と冷え込む結果となった。

  • 2022年モバイル市場の概況

さらに、鳥井氏は、「デジタル市場データ」「AIによるインサイト」「広告、マーケティング、マネタイズツール」「ワークフロー」「統合」「リソースハブ」について、製品ロードマップを紹介した。

同社は現在第2四半期にあり、デジタル市場データについては、PC向けのソリューションを開発中だ。また、企業の幅が広がっていることからラーニングポータルを提供することにしたそうだ。

  • 「デジタル市場データ」「AIによるインサイト」に関する製品ポートフォリオ

  • 「広告、マーケティング、マネタイズツール」に関する製品ポートフォリオ

  • 「ワークフロー」「統合」「リソースハブ」に関する製品ポートフォリオ

続いて、既存事業責任者の矢野恵介氏が、分析機能である「ハイブリッド収益」を紹介した。同機能は、AIの活用を通して、競合の全体像を提供するもの。

  • data.ai(App Annie Japan)既存事業責任者 矢野恵介氏

モバイル経済圏においてマネタイズする主要な手段は、モバイル広告、有料アプリ、アプリ内課金、サブスクリプションであり、その7割弱がモバイル広告となっている。

矢野氏は、「アプリの世界はレッドオーシャンになっているので、詳細な情報が必要と顧客から言われていた。「ハイブリッド収益」はこうしたニーズに応えたもの」と説明した。

「ハイブリッド収益」は、「競合のアプリ内購入」「競合の収益」「競合の課金ユーザーリテンションおよびサブスクリプション」を分析する。分析結果は、「広告収益レポート」「アプリ内課金行動レポート」といった形で、顧客に提供される。

従来は、信頼性の高い広告収益を把握することは不可能だったが、同社は推計データを参考に分析を重ねることで、「広告収益レポート」において、マネタイズのカギとなる戦略を策定する。

また、有料アプリ、アプリ内課金、サブスクリプションをまとめた収益を見ても、競合のパフォーマンスを分析するのは困難である。これより、「アプリ内課金行動レポート」では、「マネタイズ曲線を掘り下げる」「ユーザーの購入行動をベンチマークする」「課金ユーザーを追跡」「ロードマップの作成」といったことにより、業界全体のアプリ内課金の原動力を探ることを可能にする。