村田製作所とチェスト、アイ・エム・アイ(IMI)の3社は、睡眠時無呼吸症候群の患者に向けたCPAP療法に関する協業を開始したことを発表した。
睡眠時の無呼吸・低呼吸を引き起こす要因の1つに、気道の狭小や閉塞を原因とする閉塞性睡眠時無呼吸症候群があり、この症状により夜間の眠りが妨げられることで、日中の仕事の効率低下や居眠り運転による交通事故など生活に支障をきたす問題を発生させる可能性がある。睡眠時にマスクを着け、機械で圧をかけた空気を送り込み気道を拡げる治療法であるCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)は、近年、日本でも検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適用が可能となるなど注目を集めるようになってきた。
しかし、従来のCPAP療法で使用される装置はサイズや重量の面で出張や旅行時に持ち運びが困難なものが多く、また、持ち運びが可能な装置であっても据え置き型に比べて機能が限定されることが多いという課題があった。村田製作所は、そうした課題を解決したCPAP装置「ムラタ CPAP MX」を新たに開発。メインユニット(本体)とベースユニット(静音・加湿機能)の着脱を可能とし、本体重量も370gと軽量であるほか、独自のブロア構造の採用により高い静音性、ならびに自社通信モジュールの採用による装置の小型化・薄型化を実現したという。
今回の協業では、チェストが提供するクラウドサービス「CHESTSKYCONNECT」と連携することで、医療従事者が患者データを遠隔モニタリングすることを可能にし、患者は自宅にいながら医療機関とつながることができるようになるという。
各社の役割としては、村田製作所がムラタ CPAP MXならびにその付属品の開発・製造販売を担当、チェストがムラタ CPAP MXおよびマスクや呼吸回路、キャリングバッグといった消耗品の販売(貸与)と付随するCHESTSKYCONNECTの提供を担当、そしてIMIが消耗品の開発および提供となっている。
なお、村田製作所では今回の協業を通じ、3社がもつ国内の医療現場に関する知見・ノウハウと開発力を活かし、医師や患者のニーズに応えた安心・安全な製品・サービスの提供を進めておくことで、睡眠時無呼吸症候群の患者が自宅でも外出先でも心地よい睡眠がとれるような社会の実現を目指すとしている。