京都大学、Chordia Therapeutics(以下、Chordia)、富士通は5月17日、がんの新薬開発における臨床試験の成功確率向上や期間短縮につながるバイオマーカーを発見するための実証実験を開始することを発表した。
今回の実証実験では、富士通が持つ、さまざまなデータから重要な因果関係を網羅的に抽出するAI(Artificial Intelligence:人工知能)である「因果発見技術」を活用する。同技術により、ヒトの全2万遺伝子の発現プロファイルを測定したデータの中から、がん治療薬の効果の有無や耐性に関係する可能性のある1000以上の条件下で遺伝子間の因果構造を網羅的に抽出する
さらに、膨大な因果構造の全貌を把握し、そこから有望な条件を導き出す分析基盤を因果発見技術に搭載することで、これまで専門家が約半年かけて行っていた因果構造の全貌の把握を1日で可能にすることを目指すとのことだ。
京都大学とChordiaは、富士通が因果発見技術を活用して発見したバイオマーカー候補を実際に検証し、治療薬の効果や薬剤に対する個々の患者の影響などを評価する。薬剤に対する患者の適性を判別できるバイオマーカーの早期発見を進めるとしている。
京都大学が確立した次世代シーケンサーによるゲノム情報の解析プラットフォームから得た結果に対し、富士通が先端AI技術を素早く試せる「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」上で公開した因果発見技術を用いて、ヒトの遺伝子と薬剤効果との因果構造や、その構造が生じる条件などを網羅的に探索する。