ゲームなどのエンターテインメント業界から広がったメタバースだが、ここにきて、企業や自治体でも利用が進み始めた。小売業界ではブルボンがメタバースを活用しており、また、金融業界ではSBI新生銀行がメタバースモールアプリを用いてバーチャル出店している。
こうした中、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は自治体と共に、メタバースの活用にチャレンジしている。本稿では、同社と埼玉県戸田市、奈良県宇陀市との取り組みから、自治体におけるメタバースの有効活用の道を明らかにしてみたい。
メタバースで自治体の課題を解決
CTCでは、メタバースに関わるビジネスを担当するチームが2つ存在する。1つは企業を対象にメタバースを実現するための3Dデータ制作基盤を提供しているチームで、もう1つが自治体を対象にメタバース空間を運営しているチームだ。今回、取材に対応してもらったのは後者のチームとなる、未来技術研究所 スマートタウンチームの方々だ。
未来技術研究所 スマートタウンチーム長 三塚明氏は、「スマートタウンチームは自治体に向けて、地域活性に役立つサービスを作っています。既存の仕組みを使いながら、メタバース空間として『CTC Digital Base』を運営しています」と語る。
CTCは2年前からメタバースを使うビジネスを模索していたが、自治体の課題解決に寄与できるのではないかと仮説が出てきたという。未来技術研究所 スマートタウンチーム 主任の吉留健太氏は、「メタバース空間では、外部の人に情報を発信することに加えて、アバターを使ってコミュニケーションすることで新しい環境を作ることができます。また、高度なPCのスキルがなくても使える点も、自治体がメタバースを介してサービスを提供する上でメリットがあると思います」と説明する。